電気自動車のF1とも呼ばれる「フォーミュラE」(FE)の第4シーズン開幕戦が、香港の市街地に作られたストリートサーキットで開催されました。2014年9月に初レースが行われたこのシリーズは、秋に開幕して年をまたいで全14戦が行われるスケジュールを採用しています。
通常は日曜日1日でフリー走行から予選、決勝レースまでが行われますが、「HONG KONG E-PRIX」は土曜日の開幕戦、日曜日の第2戦とダブルヘッダーで開催されるのが恒例となっています。
現地時間午後3時(日本時間、同4時)に始まった第1戦の決勝レースでは、ポールポジションからスタートしたジャン=エリック・ベルニュ(フランス)がトップで第1コーナーのヘアピンに飛び込んで行きました。上位陣は狭いストリートコースにもかかわらず大きな混乱無くオープニングラップを終えましたが、15位以下のマシンが接触しコースをふさぐ形でストップ。レースは一時中断となりました。
約30分のインターバルを経てレースが再開されると、2位のサム・バード(イギリス)がトップのベルニュに迫り、テール・トゥ・ノーズのバトルを仕掛けていきます。2台は圧倒的なペースで周回を重ね、後続を引き離していく展開に。手に汗握る戦いが30分近く続いた19周目、ホームストレートから続くヘアピンでバードが果敢にインを突き、ベルニュを抜き去って遂にトップに。その後バードは周回ごとに2位との差を広げ、後半にドライブスルーペナルティを課せられたにもかかわらずポジションを落とすことなく、43周のチェッカーフラッグを受けました。
2位のベルニュに続いて3位表彰台を獲得したのはF1でも活躍したニック・ハイドフェルト(ドイツ)。3番グリッドスタートからポジションを守り、終盤はベルニュと何度も接触する激しい2位争いを演じてサーキットに詰めかけた観客を大いに沸かせてくれました。
14番手スタートのマロ・エンゲル(ドイツ)は、戦略的なピットストップで大きくジャンプアップし4位でゴールする活躍でした。レース中の激しいバトルの中、誤って規定以上のパワーを使用したためにペナルティが課せられて14位となりましたが、今シーズンの健闘に期待が持てそうです。
この香港でFEにデビューした小林可夢偉選手は、ぶっつけ本番のマシンにもかかわらず予選13番手からスタートし、荒れたレースを15位で完走しました。これまでプロモーション動画の撮影用に公園で数十キロ動かしただけで本番に臨んだという小林選手ですが第2戦に期待が持てそうです。次戦は、12月3日(日)、午後3時にグリーンシグナルが点灯します。
(Toru ISHIKAWA)