「スカイアクティブボディ&シャシー・ジェネレーション2」が日本車の逆襲が始まる!【MAZDA SKYACTIV Gen2】

今回試乗したテストカーは現行マツダ3(アクセラ)にスカイアクティブXを載せたのではなく、中身は次世代プラットフォーム「スカイアクティブボディ&シャシー・ジェネレーション2」の技術が数多く盛り込まれている。

マツダはこれまでも人間中心の発想でクルマ作りを行なっているが、次世代プラットフォームではそれを更に進化させ、人間の持つ能力を最大限に進化させた「究極の人馬一体」が開発テーマである。その内容を見ると、人間のバランス保持能力を最大限発揮させるために車両全体をコーディネイトにこだわっている。

シートは取り付け部から骨盤までの入力エネルギーを遅れなく滑らかに伝えるためにシート各所の構造を見直し、骨盤の位置変異を縮小。

ボディは上下だけでなく前後の骨格を繋ぎ多方向に環状方向にして力の伝達や剛性バランスを整え、フロント~リアへの入力遅れ時間の低減により、操舵応答性をアップ。更に振動エネルギー減衰の発想が盛り込まれ、断面高歪部位には「減衰節」、パネル結合部や高歪み部位のフランジには「減衰ボンド」採用によりNVH性能を大きくレベルアップ。

更にサスペンションはバネ上に伝える力を時間軸で遅れなくコントロールできるように、各部品を連携した考え方を導入。具体的にはサスペンション作動軸をシッカリ定め、ストローク方向のブレをなくす構造に。

また、タイヤは初期の路面入力を抑制させるために縦バネの低減。そしてサスペンションアームは上下入力を早期に増大させるためにアーム角を拡大するなど、これまでの定説とは違う手法が数多く用いられる。

ちなみにビックリしたのはリアサスペンションで、現行のマルチリンクからトーションビームに変更。これはコスト云々より、今後の電動化技術との組み合わせに向けてバッテリー搭載スペースの確保も考慮しているのかもしれない。

その走りは、ここの技術がどうこう……ではなく、全体のバランスの良さが光った。これまで以上に操作に対するクルマの動きと人間の感覚にズレがなく、ドライビングに対する違和感が少ない。具体的にはスカイアクティブXと同じように「○○と○○のいい所取り」と言った印象で、ディーゼルモデルの「重さを活かした落ちつきのある乗り味」とガソリン車の「軽快でキビキビした乗り味」の両立や、17インチの「しなやかさ」と19インチの「シッカリ感」の融合と、「サウンド」は聞こえるが「ノイズ」はシャットダウンなど、今までの日本車はどっちつかずなのが悩み所だったが、次世代プラットフォームは一台で完結しているのである。恥ずかしながら、リアサスがトーションビームなのは試乗中は解らず、試乗後に下周りを覗いてビックリしたくらいだった(汗)。

Cセグメントのモデルは誰もが王者VWゴルフをベンチマークにしているが、この次世代シャシーは走りの動的質感の部分でゴルフを超えるポテンシャルを備えていると感じた。この走りの考え方は、スバルのように既存シャシーにもすぐにでもフィードバックしてほしい。

これまで「日本車は欧州車に比べると」と言われ続けてきたが、今回、スカイアクティブXと次世代プラットフォームに触れて、日本車逆襲の兆しが見えてきたような気がする。

山本シンヤ