ル・マンの女神は今年も気まぐれ、今年も優勝はポルシェの#2号車。トヨタはなぜポルシェに勝てないのか?

2017年の「ル・マン24時間レース」。今年こそ「トヨタ・ガズーレーシング」の悲願の優勝が見えてきた!ということで、今年現地に行かなかったことをどれほど悔やんだことか…。

その歴史的瞬間にその場にいる、ということは、やはりそこにいる人しか味わえない特別な雰囲気を体験できるから。
決勝のスタート順位はトヨタが1、2、4位。ポルシェが3、5位。
誰もが今年はトヨタ!という雰囲気が漂っています。
思えば1年前。悪夢のゴール3分前に無念のスローダウンとなり、優勝はポルシェの手に。
しかしさすがは紳士的な「ル・マン24時間レース」。
レースが終わると、それまでライバルだったチーム同士はもちろん、サーキット中が健闘をたたえあう感動的なシーンが待っていますが、中でも昨年の勝者となったポルシェがその時公式ツイッターとFacebookに掲載したジェントルっぷりはカッコよかった。「熱き闘いを共にしたトヨタに敬意を表して」という言葉と共にトヨタTS050 HYBRID #5号車の写真を掲載したのですから。

そして一年後、今年の「ル・マン24時間レース」。。
5台出場しているLMP1のうち、ポールポジションのトヨタ#7号車、もう一台のトヨタ#9号車に続き、ポルシェのエースカーでアンドレ・ロッテラーがドライブする#1号車の3台が無念のリタイヤ。

この時点で、予想外にもプライベータチームの「LMP2」の「ジャッキー・チェンDCレーシング」の#38号車がトップという波乱過ぎる展開。
しかし残り1時間というところでポルシェの#2号車がトップに躍り出たため、私は大急ぎで銀座で行われているポルシェのパブリックビューイング会場へ。
そしてそのままゴール!

そもそもポルシェとトヨタは同じく「ハイブリッド」でレースに臨んでいますが、ポルシェは排気エネルギーを使ったハイブリッド。一方のトヨタは回生エネルギーを重視したハイブリッドというシステムの違いがあります。つまり、ポルシェはブレーキ回生と排気エネルギーで電力を貯めて走行するハイブリッドに対し、トヨタは燃費良く、しかも速く走るために効率の良いスタイルのハイブリッド。この技術の違いと開発コンセプトの違いがル・マン24時間レースでの勝利のカギなのかも。もちろんそれ以外にも作戦やさまざまな要因、さらには24時間という長丁場だけに総合力が重要だとは思いますが。

今年も素晴らしい戦いを見せてくれた全ての方に「お疲れ様でした」と「ありがとう」。

でもやっぱり来年こそは「ル・マンの女神」の心を掴んで「君が代」を聞かせてください!

吉田 由美