日本も自動運転のレベル(分類)を国際標準に変更。自動運転レベルの変遷と分類方法とは?

メルセデス・ベンツEクラスや日産セレナ、テスラなどで表現されることの多い「レベル2」などのレベルってなに? と思われている方も多いのではないでしょうか。なお、「レベル2」は自動運転システムではなく、運転支援システムに過ぎません。

自動運転の分類方法(レベル)は複数あり、変遷してきました。

日本では「官民ITS構想・ロードマップ2016」による「安全運転支援システム・自動走行システムの定義」により、4つに分類されています。こちらは「NHTSA(米国運輸省道路交通安全局)の定義を踏まえ、運転支援の手段を情報提供型と自動制御活用型に分類するとともに、その自動制御活用型をレベルに応じて4段階に分類」としています。

※出展:官民ITS構想・ロードマップ2016

その本家「NHTSA」。2013年の「NHTSA2013」では、「レベル0〜レベル4」まであり、さらに2016年9月に「NHTSA2016」が発表されて「SAE」レベル定義を採用すると発表。

エンジンオイルなどでもお馴染みの「SAE」とは、アメリカの自動車にまつわる非営利団体で、クルマだけでなく航空宇宙関連の標準規格を定めています。

2016年の「SAE」のレベル定義は、レベル0からレベル5までの6段階があり、レベル3(条件付運転自動化)から自動運転に該当し、レベル4が高度自動運転、レベル5が完全自動運転としています。

5月31日にロイターなどの一部メディアは、日本政府がこれまで4段階(先述した官民ITS構想・ロードマップ2016によるもの)としていたものから「国際的な基準に合わせて5段階にする」と報じています。

国際的な基準とは曖昧ですが、「NHTSA」も2016年に採用すると発表したSAEの基準のことと思われます。

「レベル0」はドライバーによる完全運転で、日本では5段階ですから表示されないようです。「レベル1」が加速、減速、操舵のうち1つ(部分的に)をサポート。「レベル2」は加速、減速、操舵のうち複数を車両が制御(サポートする)、「レベル3」は上記3つの操作を車両が行うものの、万一の際はドライバーが操作と責任を負うことになります。

「レベル4」は車両がすべてを制御。万一の際もドライバーには権限を移譲しないものの、すべての公道ではなく限られた環境、条件下で作動。「レベル5」は、人間が運転できるすべての環境、条件下で自動運転システムが作動することになります。

なお、日本勢では2020年までにトヨタやホンダ、日産などが「レベル3」を実用化する目標を掲げています(メーカーにより高速道路のみか、一部の一般道も含めるか異なっています)。

(塚田勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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