エアレースに使われている機体はシーズン中も開発と熟成が進められ、進化が途切れる事はありません。とはいえ、エンジンとプロペラはレギュレーションで統一され、改造は許されません。よって、最新の機体を入手しても、熟成が進んでいる旧型機には簡単には勝てません。
現在、参戦している機体はヂブコエアロノーティクス社の「EDGE 540」と、MXエアクラフト社の「MXS-R」の2機種のみです。
「EDGE 540」は胴体の中程に翼がある中翼機です。V2とV3がありますが、基本的には機体の材質(=重さ:V3の方が軽い)の違いでカスタマイズが可能な為、ベースとしての大きな差は無い様です。
室屋選手を始め、エアレースに参戦しているほとんどの選手がEDGEを使用しています。
一方のMXS-Rは胴体下に翼のある低翼機です。ミカエル・ブラジョー選手が、昨年迄ナイジェル・ラム選手が使用していた機体を引き継ぎました。
マット・ホール選手も2009年のデビュー時から愛機としていましたが、昨年最終戦直前に修復不能なダメージが確認され、今年からEDGEに乗り換たため、今シーズンは1機となりました。
ラム選手は2度表彰台を獲得しています。ホール選手も昨年2度優勝しており、MXS-Rのポテンシャルもまだまだ侮れません。
ブラジョー選手のように、エアレーサーの機体は引き継がれていきます。
室屋選手のEDGE 540V2をピーター・ポドルンシェク選手が引継ぎ、今シーズン大活躍をしているのを筆頭に、 ポール・ボノム選手のEDGE 540V2(’15年チャンピオン機)を翌年よりホアン・ベラルデ選手が引き継いでいます。
同じく15年に引退したピーター・ベネゼイ選手のEDGE 540V3をマルティン・ソンカ選手が受け継ぎました。 最初からチューニングが施され、セッティングが出ている機体はゼロから開発を始めなくて良いのでメリットが大きいのです。