世界の自動車各社が中国への電動車投入を優先するワケは?【上海モーターショー2017】

このように、自動車各社が今回のショーでEVなどの環境技術を従来にも増してアピールするのは、大気汚染が深刻化する中、中国政府が補助金政策でEV化を急ピッチで進めており、将来的に確実な需要が見込めるため。

2018年から各自動車メーカーにEVやPHVなどの新エネルギー車の生産を義務付ける動きもあるようで、2020年には年間生産台数の12%相当の生産が求められる見通しといいます。

中国は2009年に米国を抜いて世界最大の自動車市場に成長しており、昨年は2,800万台を超える新車が売れるなど、その市場規模は米国市場の約1.6倍、日本市場の約5.6倍にも達しています。

米トランプ政権が保護主義政策を前面に押出す中、自動車各社には、世界販売に占める米国依存度の高さへの危機感があるようで、今後のリスク回避のためにも中国市場における販売を伸ばしたいところ。

世界販売の4割以上を中国市場が占めるVWの場合、米国依存度は僅か6%程度で、今回のショーでもEVコンセプト車「I.D.CROZZ(クロス)」をワールドプレミアするなど、中国がEVの重要市場である姿勢を鮮明にしています。

こうした状況から、米国市場への依存度が30%を超えるトヨタや日産、ホンダにとっては、電動化による中国市場でのシェア拡大が必須になっているという訳です。

Avanti Yasunori・画像:TOYOTA、HONDA、VW)

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【関連リンク】

上海モーターショー2017
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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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