【新型BMW5シリーズ試乗】どこまでも走りたくなる「シルキー6」エンジンの仕上がり

しかし、運転席に乗り込んで走り出すと大きさを感じさせない、BMWらしい一体感を強く抱かせます。「ミニ・7シリーズかな?」と思って新型5シリーズに乗り込むと、5シリーズはより一体感が強く、ドライバーズセダンであることが低速域からも伝わってきます。

大型化されても燃費や運動性能のためにダイエットが欠かせなくなっている現在、5シリーズも例に漏れず軽量化を敢行。約80kgのダイエットは、大人1人分ですから、とくにドライバビリティの面でかなりの効果が期待できます。

これは、アルミニウムの採用が大きく、新型では高張力鋼板、アルミニウム合金を積極的に使っているとのこと。

高速道路にステージを移すと、新型BMW5シリーズが真価を発揮します。直列6気筒らしいスムーズな加速は、密度の濃さを伴ったもので、まさにシルキー6と呼ばれる滑らかさなのにしっかりと印象に残ります。これは8ATの完成度の良さももちろん貢献していますが、エンジンそのものの完成度の高さを改めて認識させられます。

BMWは一時期、直列6気筒から離れる姿勢を見せましたが、エンジンのサイズやコスト面で目処がつけば、直6ならではの滑らかな加速と音、振動の少なさはやはり感動モノです。最近多くなっているダウンサイジングターボもパンチ力があり、実用上不満のないものが増えていますが、直6のスムーズで伸びやかな加速感はやはり格別。

静かさも印象的で、高回転まで回しても音も振動も良く抑えられていて、エンジン音ばかり高くなるような無粋な振る舞いはほとんどありません。一方で、低速域の静かさも大きな美点。アイドリングストップから再始動する際の音・振動もほとんど気になりません。

また、ボディサイズが大きくなっても意のままのハンドリングは健在で、直6でもフロントノーズの重さはまったく感じさせません。しかも高速域の直進安定性も非常に高く、ロングツアラーとしてまさにどこまでもステアリングを握っていたいという気持ちにさせてくれます。

(文/塚田勝弘 写真/中里慎一郎)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
続きを見る
閉じる