理想的な配光として「必要な照射範囲」、「発光色」、「必要な照度」を考え、常に完全停車で危険回避ができる遠方視界の確保、交差点で歩行者を認知できる照射範囲を追求しているとのこと。
また、「上方照射範囲」として、一番高い標識(6m)までの対象物(歩行者も含む)が視認できることが欠かせません。そのため、角度や高さを検証するとともに、認知したい対象物の反射率と距離から必要な照度を実現。つまり、標識や看板、白線は反射率50%、黒い服装の歩行者は反射率10%と、対象物により異なる反射率をクリアする必要があります。
中でも、マツダは歩行者の認知度向上が欠かせないとしています。夜間の歩行者死亡事故のうち、ロービームではなくハイビームで走行していれば約半分は防げたという警視庁によるデータがあるためです。一方で、歩行者や自転車、オートバイにとってハイビームの対向車が来ると眩しくて眩惑させられますが、顔の部分だけを明るく照らさないような技術も求められます。
マツダのALHは、車載カメラで対向車、先行車を検出し、対象物を眩惑せずに遠方、側方の認知性向上を実現。また、ワイド配光ロービームにより交差点や低速走行時の歩行者の認知性向上も基本機能として備わっています。
なお、グレア(防眩)フリーハイビームは、11分割されたLEDパッケージを採用し、車載カメラ、ステアリング舵角、車両Gからの信号により明るさが制御される機能です。
2つめのテーマである「小型化」は、デザイン、品質の向上、質量の抑制を図ることで実現。ロービームとグレア(防眩)フリーハイビームの1ユニット化により0.2kgの軽量化、コストダウンが図られています。
「省エネ」はLEDの進化により消費電力効率、視認性でLEDの優位性は続く見込みと分析しています。なお、LEDの光源色温度は正午の太陽くらいのイメージとのこと。
マツダのALHをまとめると、グレア(防眩)ハイビーム、40km/h以下で側方照射を高めるワイド配光ロービーム、95km/h以上で光軸をアップするモーターウェイモードの3つを基本機能として搭載。
ALHは、ブラインドスポットモニタリング(リヤクロストラフィックアラート付)、車線逸脱警報システムとセットの「セーフティパッケージ(11万7720円)」に含まれていますので、ぜひ選択したいところです。
(文/塚田勝弘 写真/塚田勝弘、マツダ)