WIRED Audi Innovation Award 2016受賞イノヴェイターたちがスゴい

自動車界のイノベーターと言ってもいいアウディがサポートする、WIRED Audi Innovation Award 2016の授賞式が行われました。

イノベーターとは、一攫千金を狙って起業したり開発をする、というのではなく、世の中にないもの、ことを生み出し、これからの生活者が豊かになることを願って新たなことを起こす人々、のことを指すのだと思います。

どんなことをやってる人たちか、受賞者の作品やサービスなど一部をご紹介しましょう。

この大きめのラジコンくらいのモックアップは月に行く探査機です。

20161206wired-audi_049

世界的に月面探査のレースが始まっています。Google Lunar XPRIZEでは、開発からいかに早く月面探査機を載せたロケットを打ち上げ、月面を着陸地点から500m以上走行し、高解像度の動画や画像などのデータを地球に最初に送信したチームが勝ちとなります。

20161206wired-audi_050

賞金総額は3000万ドル(約30億円)!ただし、ロケットを打ち上げるだけでもそれ以上かかるとも言われているそうです。

世界10カ国以上、16チームが参加しており、日本からはチームHAKUTOがチャレンジ中。2017年の後半にロケットが発射されるかも、とのこと。将来は月の資源開発なども考えられるそうで、応援していきたいものです。

 

自分のことをどれだけ知ってますか? 知りたいと思いませんか?

20161206wired-audi_044

お手軽に自身の遺伝子、DNAを調べるキットがあります。自分の唾液を採取してそれを送るだけ。唾液からDNAを抽出して、遺伝情報を読み取り、個人の体質や疾患のリスクの情報を提供する検査です。

ジーンクエストは、一般向けで日本初のサービスとして始まり、アジア人のデータを中心に集めたデータからの情報が特徴と言います。

遺伝子のデータから病気になりやすい傾向などがわかり、その病気にならないような食生活を送ったり、もしかするとダイエット方法の指針にもできるかもしれません。

さらに、自分の祖先がどこから来たのかもわかるそうで、なんだか太古の昔の夢を見ることもできそうです。

そのほか、腕に巻き付けて操作を行うインターフェース(ゲームコントローラー)や、産業廃棄物の新しい使い方や、水に浮かべる日本列島型の方位磁石、メガネで集中力を測定するものなどが目を引きました。

20161206wired-audi_048 20161206wired-audi_053 20161206wired-audi_052 20161206wired-audi_043

協賛社のアウディジャパン・マーケティング本部長のミクシェ・シルケさんは、このようなさまざな方面のイノベーターが集まることを大変うれしく思う。ここで交流を深めてまた新たなイノベーションにつなげてほしい、とコメントしました。

20161206wired-audi_041

日本にこんなに大勢のイノベーターがいるんだと思うと、なんだか心強く感じられました。ほとんどの人たちからは、まっすぐにやりたいことをやる、という信念を感じます。

20161206wired-audi_042

<受賞者・当日参加者>
齊藤元章|MOTOAKI SAITO
研究開発者・起業家。1968 年生まれ。PEZY Computing 代表取締役社長。医師・医学博士。 日米で医療系法人や技術系ヴェンチャー企業 10 社を立ち上げた シリアルアントレプレナー。 2015 年 スーパーコンピューターの単位消費電力あたりの演算性能ランキング「Green500」で、日本 企業初となる 1~3 位独占を果たし、 世界初となるヴェンチャー企業による 1 位を獲得した

豊田啓介|KEISUKE TOYODA
建築家。東京大学工学部建築学科卒業。安藤忠雄建築研究所を経て、コロンビア大学建築学部修士課程修了。アメリカの SHoP Architects を経て、 2007 年より東京と台北をベースに建築デザイン事務所 noiz を蔡佳萱と共同主宰。コンピューテー ショナルデザインを積極的に取り入れた制作・ 研究活動を、プロダクトから都市まで分野を横断しながら展開している。

瀬尾拡史|HIROFUMI SEO
1985 年東京生まれ。東京大学医学部医学科卒。医師。 東京大学医学部附属病院にて初期臨床研修修了。東京大学在学中デジタルハリウッドへのダブルスクールで 3DCG の基礎を習 得。 現在は「サイエンスを、正しく、楽しく。」を合言葉に、サイエンスコンテンツの プロデュース、制作を行うサイアメント代表取締役 を務め、 医療 CG プロデューサーとして活動する。

玉城絵美|EMI TAMAKI
H2L Inc.チーフリサーチャー。2012 年、東京大学大学院で同じ暦本純一 研究室に所属し、ヒューマンコンピューターインタラクシ ョンを研究していた 岩崎健一郎とともに、「H2L」を起業。身体そのものを「情報提示デヴァイス」に する「PossessedHand(ポ ゼスト・ハンド)」は 2011 年 9 月、『TIME』誌の「The 50 Best Inventions」に選出された。
2013 年より早稲田大学助教。

高橋祥子|SHOKO TAKAHASHI
1988 年生まれ。大阪府出身。2010 年京都大学農学部卒業。 東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程在籍中に 起業。 DNA チップを使ったゲノム解析によって、病気のリスクや体質に関する ゲノム情報を知らせるサーヴィスを展開中。

藤島皓介|KOSUKE FUJISHIMA
1982 年生まれ。東京工業大学 ELSI(地球生命研究所) EON 研究員。慶應義塾大学環境情報学部卒業、同大学大学院博士 課程早期修了、日本学術振興会(JSPS) 海外 特別研究員、NASA(米航空宇宙局)エイムズ研究所研究員などを経て、現職。慶應義塾 大学特任講師を兼任。研究対 象は、生命の起源、土星衛星エンセラダス 生命探査、火星移住計画、合成生物学全般。

和田永|EI WADA
1987 年東京生まれ。大学在籍中よりアーティスト/ミュージシャンとして 音楽と美術の間の領域で活動を開始。2009 年より古 いオープンリール式 テープレコーダーを演奏するグループ「Open Reel Ensemble」を結成。 Ars Electronica や Sonar を始 め、各国でライブや展示活動を行うほか、ISSEY MIYAKE のパリコレクションでは、現在までに 6 期連続で音楽を担当。 2015 年より、役割を終えた古家電を、新たな電子楽器として蘇生させ 合奏する祭典を目指すプロジェクト「 エレクトロニコス・ファンタス ティコス!」を 始動。Open Reel Ensemble は、6 月 29 日(水)に渋谷 DUO にて ASA-CHANG & 巡礼、宮内優里とイ ヴェントを開催する。

冨田勝|MASARU TOMITA
1957 年生まれ。生命科学者、計算機学者。専門はシステム生物学や人工知能。2001 年、慶應義塾大学先端生命科学研 究所(先端研)の創設に携わり、所長に就任。山形県鶴岡市から誘致を受け開設された先端研は今年 16 年目を迎えている。

宇川直宏|NAOHIRO UKAWA
1968 年生まれ。現在美術家。映像作家、グラフィックデザイナー、VJ、文筆家、京都造形芸術大学教授など、極めて多岐にわ たる領域に活動を広げる。2010 年に個人で開局したライヴストリーミング兼チャンネル「DOMMUNE」では、世界中の DJ、クリエ イターから熱狂的な支持を受け続けている。2012 年より文化庁メディア芸術祭審査員(3 年間)、2015 年高松メディアアート 祭ゼネラル・ディレクター、同年アルスエレクトロニカのサウンドアート部門審査員も務める。

米良はるか|HARUKA MERA
1987 年東京生まれ。2012 年、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科修了。大学院在学中にスタンフォード大学へ留 学し、帰国後の 2011 年 3 月、クラウドファンディングサーヴィス「READYFOR」を立ち上げる。2014 年 7 月、READYFOR 株 式会社を設立し、代表取締役に就任。大学在学中、当時インターネットサーヴィス「SPYSEE」を運営していた、東京大学教授で AI 研究で知られる松尾豊(当時准教授)のもとで働いた経験をもつが、当時の経験から「ロボットに使わない、自分らしく生き残 るため」の方法を模索しているとも言う。

佐藤ビンゴ|BINGO SATO
「Vice Media Japan」代表取締役。1995 年に「54-71」を同級生らと結成。バンド活動を続けると同時に、2007 年に音楽レ ーベル&プロモーター事業を行う「contrarede」を設立。音楽だけでなく雑誌「Libertin DUNE」の刊行やバンドの海外ツアーを通 じて「Vice US」との交流を深め、2012 年にはグローバルメディア Vice の日本支社「Vice Media Japan」を設立。同社代表取 締役に就任。

袴田武史|TAKESHI HAKAMADA
1979 年生まれ。HAKUTO 代表、ispace CEO。米ジョージア工科大学大学院で修士号(Aerospace Engineering)を 取得後、経営コンサルティング会社を経て、2010 年から民間月面ロボット探査レース「Google Lunar XPRIZE」に日本で唯一 参戦するチーム「HAKUTO」を率いている。同チームの運営母体である ispace の CEO として、月面資源開発を展開している。

和田晃一良|KOICHIRO WADA
レジュプレス代表取締役社長。2009 年、東京工業大学に入学。3 年次よりウェブアプリ制作会社でアルバイトを始め、クックパッ ド主催第 3 回開発コンテスト 24 など、さまざまなハッカソンでの優勝経歴をもつ。12 年 8 月にレジュプレスを創業。「STORYS.JP」 とともに、同年 8 月にスタートしたビットコイン交換所「coincheck」のシステム開発を担当する。www.resupress.com

加藤百合子|YURIKO KATO
エムスクエア・ラボ代表取締役。東大農学部で農業システムを研究し、英国クランフィールド大学で修士号取得。その後、米航空 宇宙局(NASA)の植物工場プロジェクトに参画。2000 年に帰国し、キヤノン入社。2001 年、同社を退社し静岡に移住。産 業用機械の研究開発に 7 年ほど従事。2009 年エムスクエア・ラボ(M2 ラボ)を設立。青果流通を変える「ベジプロバイダー事 業」で日本政策投資銀行第1回女性新ビジネスプランコンペティション大賞受賞したほか、様々な新規事業に取り組む。

中台澄之|SUMIYUKI NAKADAI
ビジネスアーティスト、ナカダイ常務取締役、「モノ:ファクトリー」代表。東京理科大学理学部卒。証券会社を経て、1999 年に産 業廃棄処分業「ナカダイ」入社。「発想はモノから生まれる」をコンセプトに、400 種類を超えるマテリアルを常時展示・販売する「モ ノ:ファクトリー」を創設。工場見学や解体ワークショップを通して、「捨てる」ことの本質を社会に提示する。

小島秀夫|HIDEO KOJIMA
1963 年生まれ。ゲームクリエイター。「メタルギアソリッド」シリーズをはじめとする世界的ヒットで知られる。15 年 12 月、コナミデジタ ルエンタテインメントを退社し、新会社コジマプロダクションを設立。16 年 6 月には同社初作品となる『Death Stranding』(デ ス・ストランディング)の制作を発表した。

野老朝雄|ASAO TOKOLO
1969 年生まれ。東京造形大学デザイン学科建築専攻卒業。Architectural Association of Architecture(AA スクール) 在籍を経て、江頭慎に師事。2001 年 9 月 11 日より「繋げること」をテーマに紋様の制作を行うようになり、美術、建築、デザイン の境界領域で活動を続けている。単純な幾何学原理に基づいて定規やコンパスで再現可能な紋様の制作をはじめとして、現在 は同様の原理を応用した立体構造物の制作も行っている。

水口哲也|TETSUYA MIZUGUCHI
クリエイター。ゲームデザイナー。慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD) 特任教授、レゾネア株式会社代表、米国 法人 Enhance Games CEO。ヴィデオゲーム、音楽、映像、アプリケーション設計など、共感覚的アプローチで創作活動を続け ている。ゲームの代表作として、「Rez(レズ)」「ルミネス」「Child of Eden」など。2006 年に全米プロデューサー組合(PGA) が選ぶ「Digital 50」(世界で注目すべきデジタル系イノヴェイター50 人)に選出。

田中仁|HITOSHI TANAKA
ジェイアイエヌ代表取締役社長。1963 年群馬県生まれ。慶應義塾大学大学院 政策メディア研究科 修士課程修了。88 年 にジェイアイエヌを設立、代表取締役社長に就任。2001 年よりアイウエア事業「JINS」(ジンズ)を開始。2006 年に大証ヘラク レス(現 JASDAQ)に上場。2011 年「Ernst & Young ワールド・アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー2011」モナコ世界大会に、 日本代表として出場。2013 年、東京証券取引所第一部に上場した。

坂巻匡彦|TADAHIKO SAKAMAKI
KORG 商品企画室室長・プロダクトデザイナー。千葉大学工学部デザイン学科 非常勤講師、奈良女子大学・お茶の水女子大 学大学院 生活工学共同専攻非常勤講師。2004 年 KORG にプロダクトデザイナーとして入社。翌年、商品企画室へ異動。 デザイン思考に基づき、電子楽器の常識を打ち破る商品を多数プロデュース。2014 年より現職、全 KORG 製品の企画とデザイ ンのディレクションを担当する。

岡島礼奈|LENA OKAJIMA
ALE 代表取締役社長。東京大学理学部天文学科卒業。同大学院理学系研究科天文学専攻にて博士号を取得。在学中に サイエンスとエンターテインメントの会社を設立し、ゲーム、産学連携のサーヴィスなどを立ち上げる。卒業後は、ゴールドマン・サック ス証券戦略投資部にて債券投資事業、PE 業務等に従事。2011 年 9 月、人工流れ星を用いたエンターテイメントビジネスを展 開する ALE を設立。2018 年の人工流れ星実現に向けて準備を進める。

(clicccar編集長 小林 和久)

この記事の著者

編集長 小林和久 近影

編集長 小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務める。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
続きを見る
閉じる