第3戦の代換レース、GT300クラスはAudiが初勝利!【SUPER GT2016】

11月12日にツインリンクもてぎ予選、決勝の両方を開催した2016 AUTOBACS SUPER GT Round3。熊本地震の復興支援大会と位置づけられたこのレースは、4月14日から頻発した熊本地震により開催できなくなった第3戦の代換としてこの日に開催されたもの。

本来はSUPER GT最終戦の日程に第3戦を開催させるということで12日、13日ともに予選と250kmの決勝レースという過酷なスケジュールとなりました。

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この第3戦のポールポジションは11号車 GAINER TANAX AMG GT3。日ごろSUPER GTでなじみのあるノックダウン方式ではなくドライバー1人による一発勝負。一発勝負ならではの駆け引き一切なしな走りは普段とは違った凄みを感じさせるものでした。

そんな一発勝負の予選でポールポジションを得たビヨン・ビルドハイム選手のGAINER TANAX AMG GT3は雨は上がったものの、朝一の冷えた空気で路面が乾かないウェットの残る路面でたった一台だけの1分54秒台はお見事。

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そのGAINER TANAX AMG GT3、ビルドハイム選手が好スタートで2位の21号車 Hitotsuyama Audi R8 LMS以下をグイグイと引き離していきます。SLS時代はもてぎ最強といわれたメルセデス、AMG GT3になってもそれは健在なのか?という印象を与えます。

このオープニングラップでは次々と順位が変わっていきます。予選3番手だった61号車SUBARU BRZ R&D SPORTが4番手の31号車TOYOTA PRIUS apr GTにかわされ4位に落ち、7番手だった25号車VivaC 86 MCが6位に、そして12番手だった2号車シンティアム アップル ロータスが大きくジャンプアップして10位となります。

このまま順調にレースが進んでいくかのように見えた2周目、ファーストアンダーブリッジで7号車Studie BMW M6と5号車マッハ車検 MC86が接触。マッハ車検 MC86はコース上で停止してしまいます。そのすぐ後、今度はセカンドアンダーブリッジで55号車ARTA BMW M6 GT3がフロント部分を失うほどの大クラッシュ!これをうけてセイフティーカーが導入されることになってしまいました。

今回のセーフティーカー導入では、通常の導入時にあるのようなクラスごと順位順の整列は行われません。理由としてはまだGT500がGT300を追い抜いておらず、車両が順位の通りに走行していたから、だということです。

セカンドアンダーブリッジの飛び散った飛散物の処理に時間がかかり、ほぼ4周となったセーフティーカーラン。再スタートは7周終了時点。この再スタート時でもGAINER TANAX AMG GT3はHitotsuyama Audi R8 LMSを引き離していきます。

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そしてHitotsuyama Audi R8 LMSにはの31号車TOYOTA PRIUS apr GTがにじり寄るという展開。その背後のSUBARU BRZ R&D SPORTには0号車 GAINER TANAX GT-Rが迫るなど、またしても順位変動の予感。

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16周目には早くもピットインをするチームが出始めます。24周目にGAINER TANAX AMG GT3がピットインでタイヤ無交換。25周目にはHitotsuyama Audi R8 LMSが入ります。こちらもタイヤ無交換。ただしピット作業はHitotsuyama Audi R8 LMSのほうが早かったようで、なんとGAINER TANAX AMG GT3の前でコース復帰!これで順位が入れ替わります。

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ともにダンロップタイヤを履くGAINER TANAX AMG GT3とHitotsuyama Audi R8 LMS。ピット作業でのちょっとした差が順位の変動を生んだようです。

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GAINER TANAX AMG GT3にとってタイヤ無交換作戦は失敗に終わった感が否めず、後続の88号車マネパ ランボルギーニ GT3にも2位の座を明け渡して3位に後退。

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そのすぐあとには33号車Excellence Porscheにも抜かれてしまうなど、勝負権を失ってしまうのです。

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この時点で1位のHitotsuyama Audi R8 LMSと2位のマネパ ランボルギーニ GT3はタイヤ無交換。3位に浮上してきたExcellence Porscheはタイヤ交換しての安定感から上位陣にチャージをかけ、ファイナルラップの1コーナーでマネパ ランボルギーニ GT3を抜いて2位へ。

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しかし、Hitotsuyama Audi R8 LMSは強かった。Excellence Porscheはファイナルラップ中に追いつくことができず、ファーストチェッカーはHitotsuyama Audi R8 LMSがうけることになりました。

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Hitotsuyama Audi R8 LMSというよりもAudiがSUPER GTで優勝したのは、このレースが初めて。技、力、運の全てが揃った初優勝といえるでしょう。

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この優勝でHitotsuyama Audi R8 LMSはポイントランキングで2位の3号車B-MAX NDDP GT-Rと同点に躍り出ます。

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ランキングトップのVivaC 86 MCは7位。ポイントを再び積んだとはいえ、今回優勝したHitotsuyama Audi R8 LMSや同点のB-MAX NDDP GT-Rとの点差は9ポイント。これでシリーズチャンピオンの行方が全くわからなくなりました。

チャンピオン決定は翌日の最終戦「2016 AUTOBACS SUPER GT Round8 MOTEGI GT GRAND FINAL」に持ち越されることとなりました。

(写真:吉見幸夫 文:松永和浩)

この記事の著者

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松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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