つづくRACE2。予選3番手の国本選手はグリッドでも平常心のように見えましたが、実際の闘志はかなり燃え上がっているのではないでしょうか。
好スタートを切ったのはDOCOMO TEAM DANDELION RACINGのストフェル・バンドーン選手。石浦選手のスタートも堅実ではあったものの、バンドーン選手のロケットスタートはそれを大きく上回っていました。
最もチャンピオンに近いはずの国本選手はスタートに失敗し、スタート周のS字コーナー進入では6位まで後退してしまいます。
その後のバンドーン選手はかなりの勢いに乗って周回を重ねていきます。
RACE2は35周という比較的レース距離の短い周回数ですが、タイヤ交換義務があるために1周目からタイヤ交換でのピットインをするチームも比較的多く、4番手を走行していたVANTELIN TEAM TOM’Sの中嶋一貴選手などもピットイン。4番手以降の順位が大きく変わります。
ランキングトップの国本選手、第5戦岡山のRACE2では1周目ピットイン作戦で優勝をもぎ取りましたが、今回はなかなかピットインをしません。23周目に各車ピットインをした段階でも、国本選手とKONDO RACINGのジェームス・ロシター選手はピットインをしていません。
24周目にREAL RACINGの伊沢拓也選手がスプーンコーナーでクラッシュしセーフティーカー導入となると、23周目には暫定トップとなっていた国本選手がやっとピットイン。タイヤ交換をしてコースに復帰します。このときの順位は7位。トップはバンドーン選手に。国本選手は優勝からは程遠い位置となってしまいます。
27周目にセーフティーカーが解除されると残り7周はスプリントレースの様相。バンドーン選手のトップは変わらず。ここで2位の石浦選手と3位のロッテラー選手がオーバーテイクシステムを使って追い上げようかという矢先、29周目最終コーナーでTEAM 無限の山本尚貴選手がクラッシュ!
またしてもセイフティーカーが導入されます。
32周目にセーフティーカーが解除されると、残り4周。ここでレースが大きく動きます。3番手を走行していたロッテラー選手が石浦選手をオーバーテイク!2位に浮上しバンドーン選手を追いかけます。ラップタイムはロッテラー選手のほうが速く、見る間に差をつめてきますが、バンドーン選手も動じません。
ロッテラー選手はバンドーン選手を0.7秒台まで追い詰めますが、もうそこはファイナルラップのコントロールライン。トップチェッカーはバンドーン選手の頭上で振られることになりました。
国本選手は6位でフィニッシュ。このチェッカーで2016年スーパーフォーミュラーのシリーズチャンピオンが決定。
来年からマクラーレンからF1に参戦することが決定しているバンドーン選手にとって、日本でのシリーズ参戦はこの鈴鹿戦が最後となります。
その最後のレースを優勝で飾ったバンドーン選手は、まさに有終の美。
同じパルクフェルメでは、チャンピオンとなった国本選手が、予選、決勝を含めて2日間のレースで初めて満面の笑みを見せてくれました。
2016年スーパーフォーミュラーで新しく誕生したチャンピオン、国本雄資選手。スーパーフォーミュラーの大きな大きなトロフィーに、国本選手の名前が刻まれることとなりました。
(写真・文:松永和浩)