なにかと話題の二代目ホンダNSX。先進的な3モーターハイブリッドシステムを搭載したこの最新鋭のスーパースポーツカーは、いま世界中から注目される存在です。一方、同じくジャパン・ブランドとして名を馳せるニッサンGT-Rは、10年という歳月を経て大幅な改良を実施。しかもGT-R NISMOに関してはノーマルをベースにさらに強化され、スーパーGTマシン譲りの空力性能まで受け継ぐというツワモノもリリースされました。
いずれも[究極]を豪語するだけに、気になるのはその数値のみならず、実際に得られる印象です。世界を相手にするにもその点はかなり重要ですが、NSXはまさに新時代のスーパースポーツに相応しい完成度を実感できます。システム合計出力581psを誇るというものの、極度の緊張感とは無縁、日常の延長に速さを体験できるという、超高性能を自慢せずに提供する絶妙なバランスが印象に残ります。しかし、スポーツ・プラスモードを選択すると激変、素晴らしい加速を見せて異次元のフィーリングで魅了します。しかも、それでも安定性は抜群。さすがはハイテクスポーツ4WD! 新世代スポーツカーの理想を具現化できていると思い知らされます。
その点、GT-R NISMOは真逆。もはやこれを公道で乗ることは反則と思えるほどに刺激満載。本当にGTマシンが路上に放たれたような印象で、本気でこの性能を試すことなどサーキットでなければ不可能といえます。とにかくこの600psはその数値以上の速さを体感できます。まさにレーシング・クオリティ! NISMO専用のサスペンションをもつこのシャシー性能も半端なレベルではないし、専用のGT3タービンも急激な加速を示すので、生半可な気持ちで扱うと確実にしっぺ返しを食らうことになるでしょう。とにかく尋常ではない完成度なのです。
最新のジャパンパワーを体験できるとはいえ、この両者の対比性は世界レベルで見るとユニークそのもの。NSXは洗練の一言に尽きる一方、GT-R NISMOは完全なる武道派を“ウリ”にしています。どちらが良いかという評価などできるわけがありません。どちらが好みかで決めるべきです。価格も世界レベルですが、いずれも世界に誇れるスーパースポーツカーであることは間違いありません。
(GENROQ 野口 優)
【関連リンク】
なお、GENROQ 2016年12月号では、この2台を徹底試乗したレポートを掲載しています。ぜひご覧ください。
http://www.sun-a.com/magazine/detail.php?pid=8661