新技術の元というのは、意外なところにあったりします。カローラで使われたこんな技術も、大きな推進力になったのではないでしょうか。
エンジンというものは割とデリケートなもので、高いGがかかり続けるレースなどでは、エンジンオイルが偏らないような装備も設定していたりします。
それだけ繊細なものですから、エンジンを傾けて搭載するなんてエンジンン屋さんからすれば、できれば避けたいところでしょう。
そんなことを、1966年に考えていたのが初代カローラでした。
初代カローラ搭載のK型エンジンは、ライバル車に対して「プラス100ccの余裕」をアピールする排気量1100cc(1077cc)。もともと1000ccで開発されたのですが、途中でアメリカ輸出なども考慮し1100ccへ設計変更された話は有名ですが、基本構造自体も来たる高速化時代に対応するべく意欲的でした。
ですから、この「1000ccの余裕」というのは、単にサニーよりも大きいエンジンを搭載したくて大きくしたわけではなかったのです。かつて立ち上げられた国民車構想も、その規格にあった車が実際には実現できなかったのも、高速性能の実現が難しかったことにもありました。ちなみに1955年の国民車構想では、「4人が搭乗した状態で100km/hが出せること」、「排気量350-500cc」と言う文言も並びましたが、それはなかなか大変なことだったのです。その末にスバル360が生まれ大人気となりましたが、これは構想を実現したものではありませんでした。
そして、カローラの登場する時代にあっても、そのサイズにして1リットルのエンジンで100km/h巡行の実現は難しかったということです。そしてより性能を高めるために取った手段が、排気量のアップであり、また正面から見た時に右へ20度傾けていることなのです。
これは空気抵抗低減のために、エンジン自体の高さを低くすることに加えて、空気の吸入効率を高めて高性能を引き出すという狙いがあったのです。
実は1967年に登場したブルーバード510も、エンジンがわずかに傾けらています。
またBMWもSOHCをメインとして直列エンジンを搭載している時代には、エンジンを傾けて搭載していました。
初代エスティマは、エンジンを真横に近く傾けることで、ミッドシップとしながらも低い床面の下にエンジンを収めました。
初代カローラからの技術とは一概に言えませんが、そんなスピリッツが生み出した名車であると言えるかもしれません。
(文:モーターファンアーカイブ/高橋昌也)
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