クルマが走る上で大変重要なのがサスペンションですが、クルマの車種が星の数ほどあるにもかかわらず、サスペンションの形式は数種類しかないのです。
つまりサスペンション形式はかなり画一化されているといえます。
フロントサスペンションでは、左右固定型となるリジッド式、そして以降は独立型としてトレーリングアーム式、ダブルウイッシュボーン式、そしてマクファーソン・ストラット式。そして最近増えてきたマルチリンク式といった程度です。
初代カローラのフロントサスペンションには現在主流となっているマクファーソン・ストラット式が採用されましたが、当時は他社で少量採用の事例があるだけで、もちろんトヨタとしては初めてのことでした。
トヨタは1955年に発表されたクラウンにフロントサスペンションとしてダブルウイッシュボーン式を採用しました。それ以前は板バネによるリジッド式で、クラウンと同時販売されたマスターにはこちらが採用されました。その後の初代コロナ、初代パブリカもダブルウイッシュボーン式を採用したのです。
初代カローラより半年先行した初代サニーも、ダブルウイッシュボーン式でした。
摺動部と支持部が同一構造で完結するマクファーソン・ストラット式はシンプルな構造ですが、それだけに開発は難航したそうです。
最初の試作車は、たった500mの走行で壊れてしまったといわれています。ようやく実用のメドがついたのは、開発スタートから2年半もたってからだったとのことでした。
例えば日産ブルーバードも、410型までダブルウイッシュボーン式で、カローラ登場の翌年となる1967年に発表された510型からマクファーソン・ストラット式となりました。(510はリヤサスペンションも独立式とし、さらに時代をリードしましたが…)さらに1970年発表となった2代目サニーもマクファーソン・ストラット式となりました。
まさにマクファーソン・ストラットの採用は時代の潮流であり、多くのメーカーがすでに開発に取り組んでいたわけですが、日本での発表の順番から言えばカローラが量産一番乗りとなり、マクファーソン・ストラット式はカローラが定着させたと表現されることもあるのです。
(文:モーターファンアーカイブス/高橋昌也)
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