最近の旅行では、クルマに泊まる車中泊も高い人気を得ていますね。週末のサービスエリアは、そんなクルマを多く見受けます。しかし、あれってキャンピングカーとかそれに近いワゴン車しかできないんじゃないの、と思われがちですが実はそんなことはありません。
シートを倒してフラット近くになるクルマならば、けっこう車中泊のできるクルマといえるでしょう。
そしてそんな車中泊のできる大衆車の元祖が、実はカローラだったのです。
1983年に発表された5代目カローラシリーズは、カローラ初のFFセダンとなったクルマです。しかしそれだけでなく、これまでのカローラになかった5ドアハッチバックも新設定されたのです。
トヨタでは、1966年の東京モーターショーに3代目コロナの5ドアを発表。大きくスラントしたリヤゲートは、バンとは違う魅力を放っていました。
そしてそんな考えは1983年に発表されたカローラにも反映されたのです。3代目コロナ同様に、ファストバックスタイルを採用する5ドアセダンとして、大きく傾斜したリヤウインドウなどがが特徴的でした。
そして当時の資料で「大衆車初採用」とされたのが「オールフラットシート」でした。これは後席のシートバックにリクライニング機能を持たせて、フロントのシートバックがほぼ真っ平らになるまで後ろへ倒れる構造でした。そうすると、前席から後席までシートをほぼフラットにすることが可能となったのです。
いすゞのフローリアンをはじめとして、フロントのシートバックを倒してリヤシートの座面とつなげるというものはありましたが、リヤシートのシートバックまで倒せる工夫がなされた大衆車というのはちょっと画期的でした。
(文:カローラせんせい/小林敦志)