妨害電波を抑制し、EVバス用ワイヤレス急速充電の実用化につながる技術を東芝が開発

東芝は、EVバスなどの大型車用ワイヤレス急速充電システム向けに妨害電波の抑制技術を開発したと発表しました。

東芝では、この技術により他の無線通信を妨害する不要な電磁波を抑制することができ、ワイヤレス急速充電システムを実用化する際に必要な電波法の規制をクリアできるとしています。

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東芝ではEVバス向けに標準化が進む85KHzの周波数で、44KWの電力を伝送するワイヤレス充電システムを開発しています。

この開発中のワイヤレス充電システムを実用化するためには、10kHz以上の高周波を利用しているので、電波法における高周波利用設備としての許可を受ける必要があり、システムから出る他の無線通信を妨害する不要な電磁波を抑制する必要があります。

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今回東芝では、EVバス向けの44kWワイヤレス急速充電システムを2系統に分割し、2か所の送受電パッドからそれぞれ22kWの出力で逆相の電力を送電する方法を採ることで、それぞれのパッドから放射される電磁波が打ち消し合い、不要な電磁波を抑制しました。

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さらに、2か所の送受電パッドの位置関係にも、バスの底面に「斜めかつ水平」に配置する工夫をしてパッド間で生じる干渉の抑制を実現しています。この2か所のパッドの配置は、2か所のパッドの最適な位置関係を電磁界シュミレータで割り出すことにとって見出したということです。

これらの技術により、対策前と比べて距離が10m離れた位置における電磁波が約1/10に抑制され、EVバスに必要な44kWので送電量を確保しながら、電波法上の高周波利用設備の許容値を満たすことが可能になりました。

東芝では、早稲田大学理工学術院紙屋雄史教授研究室と共同で環境省からの委託を受けて「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」として、2016年2月から行っているEVバスの公道実証実験にも本技術を採用しています。

この公道での実証実験は2016年末ごろまで実施される予定で、その後はワイヤレス急速充電システムの早期の実用化に向けて研究を進めたい、としています。

(山内 博・画像:東芝)

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