プラモデルメーカーが作った幻のガルウイング「AMTピラニア」【F2P Vol. 19】

4代目コルベットC4の デザインは、ミッチェル、ジョーダンが目をかけていたい逸材ジェリー・パーマーです。パーマーは、ジョーダンの4代目VP期にデザイン部ナンバーツーとなります。C4は、コルベット史でもっとも意義あり、興味あるクルマですが、別の機会にします。

右からC4チーフデザイナーでGMデザイン逸材でC4デザイナー、ジェリー・パーマー、チャック・ジョーダン4代目デザイン役員、カリフォルニアでスティングレイⅢコンセプトを指揮したジョン・シネーラ。
右からC4チーフデザイナーでGMデザイン逸材でC4デザイナー、ジェリー・パーマー、チャック・ジョーダン4代目デザイン役員、カリフォルニアでスティングレイⅢコンセプトを指揮したジョン・シネーラ。

次の世代C5には、エピソードがあります。チャック・ジョーダンが定年引退したのは1992年でしたが、前年ロスアンジェルス北方サウザンドオークスにあったGM先進デザイン・センターに来ないかと誘われました。「スティングレイⅢ」なる実走コンセプトカーを見せてくれました。

スティングレイⅢ。
スティングレイⅢ。

92年デトロイト・ショーでデビューしたコンセプトです。これぞチャック・ジョーダンが次期コルベットとして構想していた、やや小ぶり、ミドシップ的プロポーションの力作でした。通称 「カリフォルニアン・コルベット」は、カーボンファイバーボデイ、固定シート、前後調整ペダル、ステアリングホイールなど先進機構を搭載していました。チャックはV6を意図していましたが、「V8でなければコルベットではない」との意見大勢でスモールブロックV8に積み替えました。スティングレイⅢデザイン時のセンター長がポンティアック・ファイアーバードで有名なジョン・シネーラでした。フェラーリに迎えられるケン奥山もこのセンターに居たはずです。

カリフォルニア先進デザイン・センターでチャック・ジョーダンを囲み全員集合。
カリフォルニア先進デザイン・センターでチャック・ジョーダンを囲み全員集合。

さて、1997年ジュネーヴショーでチャック・ジョーダンに再会しましたが、彼、開口一番、「C5は私のクルマじゃないよ。あんなに肥っていなかった。」

 

2009年、GMデザインはコルベット50周年を記念した“スティングレイ”・コンセプトカーを製作し、アメリカのモーターショー巡業をしました。この時は、「まあこんなものかな」といった程度の印象。

2009年コルベット50周年記念、「スティングレイ」・コンセプト。
2009年コルベット50周年記念、「スティングレイ」・コンセプト。

しかし、2011年デトロイト・ショーで登場した“スティングレイ”・コンセプト・ロードスターを見て、やっぱりスティングレイ!と感嘆。敬愛する故ビル・ミッチェル、チャック・ジョーダンもこれならOKサインを出すだろうと思いました。

2011年コルベット・「スティングレイ」・コンセプトロードスター。
2011年コルベット・「スティングレイ」・コンセプトロードスター。

そして、最新C7は、“コルベット・スティングレイ”を名乗ります。

2015年、デトロイトで開催されたシボレー・ワークショップで7代勢揃い試乗イベント。“
2015年、デトロイトで開催されたシボレー・ワークショップで7代勢揃い試乗イベント。

(山口 京一)