4代目コルベットC4の デザインは、ミッチェル、ジョーダンが目をかけていたい逸材ジェリー・パーマーです。パーマーは、ジョーダンの4代目VP期にデザイン部ナンバーツーとなります。C4は、コルベット史でもっとも意義あり、興味あるクルマですが、別の機会にします。
次の世代C5には、エピソードがあります。チャック・ジョーダンが定年引退したのは1992年でしたが、前年ロスアンジェルス北方サウザンドオークスにあったGM先進デザイン・センターに来ないかと誘われました。「スティングレイⅢ」なる実走コンセプトカーを見せてくれました。
92年デトロイト・ショーでデビューしたコンセプトです。これぞチャック・ジョーダンが次期コルベットとして構想していた、やや小ぶり、ミドシップ的プロポーションの力作でした。通称 「カリフォルニアン・コルベット」は、カーボンファイバーボデイ、固定シート、前後調整ペダル、ステアリングホイールなど先進機構を搭載していました。チャックはV6を意図していましたが、「V8でなければコルベットではない」との意見大勢でスモールブロックV8に積み替えました。スティングレイⅢデザイン時のセンター長がポンティアック・ファイアーバードで有名なジョン・シネーラでした。フェラーリに迎えられるケン奥山もこのセンターに居たはずです。
さて、1997年ジュネーヴショーでチャック・ジョーダンに再会しましたが、彼、開口一番、「C5は私のクルマじゃないよ。あんなに肥っていなかった。」
2009年、GMデザインはコルベット50周年を記念した“スティングレイ”・コンセプトカーを製作し、アメリカのモーターショー巡業をしました。この時は、「まあこんなものかな」といった程度の印象。
しかし、2011年デトロイト・ショーで登場した“スティングレイ”・コンセプト・ロードスターを見て、やっぱりスティングレイ!と感嘆。敬愛する故ビル・ミッチェル、チャック・ジョーダンもこれならOKサインを出すだろうと思いました。
そして、最新C7は、“コルベット・スティングレイ”を名乗ります。
(山口 京一)