「日米合同チームで作った」新型NSX。主査が語った想いとは?

テッド クラウス氏は、初代NSXに対面した際に「スポーツカーはこうあるべき」というホンダの主張を感じたそうです。

HONDA_NSX_19

「コンパクトで低重心、高性能シャーシ、優れた視認性、シンプルで人間工学に基づいたインターフェイス」などを挙げ、初代NSXのコンセプトである「人中心のスーパースポーツ」を受け継ぎながら「新時代のスーパースポーツ体験」を実現したと強調。

日米合同チームで開発をスタートするにあたり、まず日本で初代NSXの開発メンバーやオーナーに会い、「NSXらしさとは何か」を深く理解することからスタート。そして、日米合同チームは、NSXらしさという基準を元に、開発のすべての意思決定を行ってきたそうです。

そして、新型NSXのコンセプトとしてまず「瞬時に反応する加速性能」を挙げ、アクセル操作に対して俊敏かつリニアに反応する加速フィールを目指したとしています。

2つめのコンセプトは「ドライバーに呼応するハンドリング」。

スロットル、ブレーキ、ステアリングなどのドライバーからのインプットに高い精度で呼応し、「人とクルマとの直感的なコネクションを創造する」と表現。

さらに「ヒューマンフィット」を掲げ、キャビンの快適性や運転のしやすさにも注力、ドライバーの個性やスキルに関わらず、誰もが楽しめるスポーツカーを目指したとしています。

デザインについては「1ミリ1ミリすべての構成面がパフォーマンスを向上させる目的を持っている」と語り、空気抵抗やダウンフォース、冷却性能はスポーツカーのパフォーマンスを大きく左右するとして、最新のCDFシミュレーション(数値流体力学)を活用し、車体周辺の空力解析を実施。

機能的な要素をすべて取り込むことで「デザイン自体でエアロフローマネージメントができる」という結論に至り、「魅力的なデザインであり、スポーツカーとしての運動性能を高めるデザインが完成」したとのこと。

HONDA_NSX_13

ボディについては、押出成形アルミ、プレス加工アルミ、3DQ超高張力鋼管、世界初のアブレーション鋳造アルミ、GDQ鋳造アルミ、プレス加工鋼鈑による複合素材によるスペースフレームを採用。その結果、コンパクトサイズを維持したまま軽量かつ高剛性、優れた衝突安全性を確保したとしています。

こうしたパッケージを土台として、高効率・高出力を誇る3モーターハイブリッドシステムの「SPORT HYBRID SH-AWD」を採用。

リヤモーターとトルクベクタリングを実現するフロントの左右独立式のモーターにより「ハイレスポンス、力強いリニアな加速、意のままのハンドリングを実現」したことで、一般路でもサーキットでも素晴らしい加速フィールを得ることができたそうです。

HONDA_NSX_15

モーターは加速だけでなく「走る・曲がる・止まる」の面でモーターの駆動力を活用し、「ほんの10秒でもNSXのハンドルを握っていただければ、新開発のV6 3.5Lツインターボと3つのモーターの融合がもたらす新時代のスーパースポーツ体験」を実感していただけるはずと強調。

HONDA_NSX_14

また、パワーユニットをフル活用して走行シーンに合わせて「Quiet」、「Sport」、「Sport+」、「Track」の4モードも用意されています。

テッド クラウス氏は、25年前日本で駐在していた時に「将来、米国の研究所が日本と同じくらい、いや日本よりも強くなるといいな」と仲間達に語ったそうです。

しかし、米国、日本という言語や国にとらわれず、同じ価値観を共有しているチームだと語り、新型NSXはそんなホンダにしか作れないスーパースポーツだと締めくくっていました。

(文/写真 塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
続きを見る
閉じる