GTの監督はレース中に何してる? チームルマン脇阪寿一監督、鈴鹿1000kmを語る【SUPER GT 2016】

SUPER GTもいよいよ後半戦に突入し、今週末は一番の山場とも言われる鈴鹿1000kmレースが開催されます。そんな天王山の直前、チームルマンの脇阪寿一監督が編集部にいらっしゃり、緊急インタビューの運びとなりました。005

昨年、ミスターSUPER GTとして惜しまれながら選手を引退。しかしWAKO’S 4CR RC Fを走らせるチームルマンの監督として今シーズンのSUPER GTで活躍される脇阪寿一さん。監督としてのSUPER GT、そして鈴鹿1000kmの意気込みなどを伺いました。

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約一時間に及ぶロングインタビュー、聞き手はclicccarではF1女子、ルマン女子として活躍し、次はSUPER GT女子の称号を狙っ ているとうわさの島田有理が担当します。

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島田有理(S)
鈴鹿1000kmのお話を伺う前に、第4戦SUGOでのポールポジションを取りましたが、ご感想は?

脇阪寿一監督(以下W)
選手だった自分ではポールポジションというのは、決勝レースに際してのうれしいセレモニー。決勝に対して一番有利な グリッドを手に入れながら、ファンの方やメディアの方々に取り上げてもらえるというイメージでしかなかったんです。今のチームルマンはここ数年ちょっと低迷してるんですね。僕がいたころのチームルマンはすごく成績がよくて輝いてい たので、チームの社長から「昔のチームルマンを取り戻してくれ」って言われて監督になったんですけど、昔のルマンを そのまま再現するのではなく、今のSUPER GTに合ったチームの大改造を自分なりに考えてやってみて、やれることってす ごく限られますけど、チームのみんなが一生懸命やりたいと思う環境づくり、すべての人間が同じ方向を向いての目的意 識、メカニックだろうがドライバーだろうがみんなの頭の中には同じクルマが走っているというのを今年のテーマにして いきたいなと思って、それがやっと実を結んだということで、僕にとってはすごく大きなごほうびをもらった気がします 。実際、走った大嶋和也と山田エンジニアの功績はすごく大きい。

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S-ポールポジションのあとはお祝いなどはされたのですか?

W-予選日の夜は、みんなで気持ちよくご飯を食べに行きましたよ。それとレースに対して大嶋がSUGOに入る前から「やれそうな気がする」ってずっと言っていたので、僕はその気持ちをどれだけ長続きさせるか、というところで自分の中で戦っ ていました。予選用にもっと曲がるクルマを作りたいと選手からもメカニックからも言われたのですが、曲がるクルマで はなくて選手が、大嶋が曲げるクルマを作ろうって決断したんです。SUGOの予選では「飛び出してもいいから」と言ったりして、もうコースアウトぎりぎりのところ まで大島が攻めていっても。SUGOでコースアウトしたらクルマなんて木端微塵なんですけど、まぁそうなったら大嶋の体も心配ですが、そうやって攻めて行くことでタイムを出して、それが大嶋和也ここにありというのがファンの方々にも伝わってのポールポジションですから、いろんな意味ですごいポールでしたね。

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S-次回は鈴鹿1000kmですが、選手として参戦されたときはいかがでしたか?

W-鈴鹿1000kmは本当に大変なレースなんですよ。いっぱい乗らないといけないし(笑)。昔はクルマが壊れるからいたわりながらレースしていましたが、技術の進歩で壊れなくなって、そうなるとスピードも緩められない。暑い中、大の大人がよってたかってエンジンかけてすごいスピードで走らなきゃいけない。でも弱音を吐いたらそこで負け。そこに自分が出ていたって考えると、本当に自分はがんばっていたな、って思いますけど。
また鈴鹿1000kmは伝統のあるレースで、そして1000kmってほかのレースの3倍以上のレース距離だから、それこそSUGOのレースが終わった瞬間に「SUPER GTって本当に面白いね」って言ったんだけど、1000kmはその3倍もいや4倍もドラマチックで面白い。

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S-1000kmの長いレースだとドライバーさんは交代などがありますけど、監督さんは出ずっぱりですよね?

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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