昭和電工、車載向け需要の増加でリチウムイオン電池材料の供給能力拡大へ

昭和電工は、リチウムイオン電池(LIB)材料用カーボン負極材SCMG(登録商標、以下同じ)の生産能力増強を決定しました。

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同社が生産能力増強を決定したSCMGは、上の写真のように黒い粉状の材料で、同社のHPでは下の写真のようにラミネートセルに封入してLIBの負極を形成する使用例を紹介しています。

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LIBは、スマートフォンやタブレット向けをはじめとする小型用途に加え、電気自動車(EV)向けの大型用途での需要が拡大しています。

特に中国では、大気汚染対策で政策によるEV推進が図られており、EVやEVバス向けLIBの需要が大きく伸長しています。

EV向けは1台あたりに搭載されるLIB容量が大きく、使用される材料も多くなります。今後、EVの普及に伴ってLIB材料市場は拡大を続け、2020年の市場規模は2兆円程度になると同社は見込んでいます。

昭和電工のSCMGは低抵抗や長寿命を特徴とし、EV用のLIB向けだけに限らず、今後の市場拡大が期待されるアイドリングストップ用途にも採用されており、需要が増大しています。

このような市場動向から、LIB向けの負極材の製造能力増強を決定したものと見られます。

今回決定された増強設備の本格稼働は2016年末を予定しており、能力増強により大町事業所における生産能力は現在より50%増の年間1,500トンとなります。加えて、6月からは中国における委託生産も開始したということです。

また、今年1月からLIB向けの正極用カーボンコート箔SDX(登録商標、以下同じ)の中国における委託生産も開始しました。

SDXは低抵抗で正極材料との密着性に優れているため、充放電特性が高まり、正極材に添加する導電助剤やバインダーの使用量を抑える効果がります。SCMGと同様、EV用途での需要が高まり、供給能力の拡大が必要なことから、中国での生産を開始したということです。

(山内 博・画像:昭和電工)