INGENUIMディーゼルを搭載したジャガーXE/XFはシルキーでトルクフル

試乗したXEは、20d R-SPORT(549万円)。

04b

XEディーゼル中の最上級モデルで、試乗車はさらに18インチホイールを19インチ(12万3000円)、スポーツシートをレザー(31万2000円)、さらにMeridianプレミアムサラウンドサウンドシステム(36万4000円)を奢るなど、254万7000円分のオプション装備を装着した豪華版でした。

スターターボタンを押してエンジンをかけると、「明らかにディーゼル」という音と振動を発して、INGENUIMユニットは目覚めます。

もちろん、ひと昔前のディーゼルエンジンと比較すると、大幅に静かでスムーズですが、総額800万円を超える高級サルーンとして、ちょっと気になる人がいるかもしれません。

ことに、市街地ではアイドリングストップが働くので、再始動のたびに「ブルン!」という身震いとともに、「ディーゼルサルーンに乗っている」ことを再確認することになります。

一方、XEディーゼルのドライブフィールは力強くて、ことに低回転域からトルキーなのが、最大の美点。そのうえ8段という多段ATと組み合わされるので、走り始めると次々とギアが上がっていきます。街なかでは、使っても2000rpmくらいまででしょうか。普通に走っていても燃費はよさそうです。

06b

ちなみに、INGENUIMユニット搭載のジャガーXEは、エコカー減税の対象になります。

試乗車のR-Sportで約19万7000円。ベーシックな20d Pure(497万円)だと、約18万4000円の減税となります。ガソリン車のベースグレードXE Pureは477万円ですから、減税分でほぼ相殺される計算になります。

ジャガーXEの場合は、シンプルなPureグレードでディーゼルモデルに乗った方が、“らしい”かもしれませんね。ライバルは、BMW320d(506万円)になりましょうか。

22b

さて、上級モデルXFのディーゼルは、20d Prestige(693万円)でした。XFディーゼルの上級版ですね。こちらも、19インチホイール(20万1000円)、LEDヘッドランプ(25万9000円)など、120万7000円のオプション装備が付いていました。

前述の通り、INGENUIMユニットのアウトプットはXEと変わらないので、車重が重い分(サンルーフ付きのXE 20d R-SPORTが1680kg。XF 20d Prestigeが1760kg)不利なはずですが、低回転域からの厚いトルクの恩恵か、運転者(←自分です)の感覚が鈍いのか、動力性能の差はほとんど感じられません。

05b 02b

XFのディーゼルモデルは、エンジンルームまわりに遮音・吸音材が贅沢に使われているので、走行中の車内はXEよりグッと静かです。100km/hでの巡航なら、トップギアで1400rpmほど。スロットルペダルに足を載せているだけで、豪華なブリティッシュサルーンは粛々と走ります。

23b

BMW523d(599万円から)とメルセデス・ベンツE220d(687万円)を価格帯が重なるジャガーXFディーゼル。おもしろい存在になりそうです。

ちなみに、XFディーゼルもエコカー減税の対象車となり、20d Ingenium Pure(635万円)が約21万8500円、同Prestige(693万円)が約23万3000円の減税となります。

(文と写真:ダン・アオキ/Office Henschel)

この記事の著者

ダン・アオキ 近影

ダン・アオキ

15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。
続きを見る