ハッチバックやミニバンをSUV風に仕立てるのはフォルクスワーゲンが得意とする手法で、「cross up!」は同社のクロスシリーズとして2006年に登場した「CrossPolo(クロスポロ)」、2007年の「CrossGolf(クロスゴルフ)」、2012年の「CrossTouran(クロストゥーラン)」に続く第4弾。
外観は、専用フロント&リヤバンパー、ルーフレールに加えて、「up!」ではもっとも大きな16インチの専用アルミホイールが装着されているほか、先述したように最低地上高も10mmアップしています。
エンジンは999ccの直列3気筒DOHCで、シングルクラッチの5速ASGとの組み合わせ。デュアルクラッチと比べると、とくに低速時の加速、減速時に一瞬の「間」がありますが、up!の登場時よりも着実にアップデートされているようで、かなりスムーズになっています。
75ps/6200rpm、95Nm/3000-4300rpmというスペックからも分かるように、軽自動車のターボよりも10ps程度パワフルになっています。
クロスアップ!の950kgという車両重量(素の4ドアのup!よりも30kg増)に対してはまさに必要十分というパワー感で、一般道であれば流れに乗るには不足を感じさせません。
また、ややロールを許しながらも粘り強い足で、コーナーをクリアするのも楽しく、日本の軽自動車やコンパクトカーでは飽き足らない層にも走りでアピールする力は備わっている印象。
小気味よい走りが魅力のコンパクトSUVとして、ほかにはあまりない個性で勝負するVW クロスアップ! ディーゼル問題で現在は「ゴキゲン♪」というブランドメッセージこそ使われていませんが、まさにゴキゲンな走り、内・外装に仕上がっています。
(文/塚田勝弘・写真/小林和久)