ドイツの大手サプライヤー(部品メーカー)のZFが、モータースポーツ向けの新型8速オートマチックトランスミッション「8P45R」を発表しました。
このモータースポーツ用オートマは、主に4つのプラネタリーギアから構成されるもので、まさしく市販車が使っているステップATと同じ構造となっているのが特徴です。
じつは、すでに2014年から始まっているBMW M235i Racing カップに使用されているマシンにはZF製の8速ステップATが使われていました。しかし、それは市販車向けの「8HP」を改良したもので、ワイドレシオのためにレースでは1~6速までしか使っていなかったといいます。
新開発された「8P45R」は、よりクロスしたギアレシオとなっているため、レーシングの世界で8速を使い切るということです。
量産車のステップATでは、エンジンからの力を伝達する部分にトルクコンバーターを使っていることが多いのですが、新しく生まれた「8P45R」はトルクコンバーターを廃することで軽量化を実現しています。これによりダイレクトさを増していることも期待されます。
BMW M235i Racing カップにATを採用した理由は、それが入門カテゴリーとして設定されたものだからとのこと。
比較的、経験の浅いドライバーであっても、シフトミスをすることなく走行できるATというのは、駆け引きといったレースドライビングに集中できるといいますし、駆動系のダメージを減らすことができるのもメリットといいます。
2014年シーズンからの経験をフィードバックして生み出された「8P45R」は、入門カテゴリーで使われることを考慮した耐久性も持ち合わせたレーシング用8速ATというわけです。
※車両の画像は、2014年のプログラム開始時にBMWから発表されたもの。
(山本晋也)