【東京モーターショー15】クルマだけじゃない!部品メーカーのキラリと光るパーツ

なにこれ! ガラス? プラスチック? いえいえ、れっきとしたサスペンションスプリング。中身はなんの変哲もないバネ鋼で、しかもちゃんと実際に使われているものです。

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東京モーターショーで面白いのはクルマの展示だけじゃありません。クルマは無数の部品からできてるわけですが、それらの技術を支えているのは部品メーカー。部品メーカーのブースも、見てまわるとけっこう面白いものがあるのです。

ここではそんな部品メーカーのブースで見つけたユニークな部品をいくつか紹介します。

■噴霧による表面処理

この不思議な質感を持つバネが展示されているのはKYBのブース。

透明感のあるルックスですが、これは塗装でもメッキでもない、噴霧処理によって成膜する新しい表面処理技術でPREGIO-HCPSというものです。銀を蒸着して着色するのだとか。防錆効果が高いらしいです。

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じっさいに、モトクロスでスペシャルオーダーのサスペンションなどに組み込まれていて、見ためもカッコいいので、ライダーにも好評だそうです。

■驚愕の薄肉ソケット

次は、肉厚のうすいホイールナット用ソケットです。水戸工機のブースで見つけました。

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従来品(写真左)の外径が25.5mmだったのに対し、この「ホイールナット用CFソケット超薄肉17mmシャロウ」(写真右)は22.7mm。国内最小径だそうです。ノーマルホイールだと、ふつうのホイールナット用ソケットでいいんですが、社外のアルミホイールをつけたばあい、ホイールとナットの隙間が狭くて、外径の大きいソケットだと入らなかったりするんですよね。でも、薄肉で外径が小さければ大丈夫だし、小径なほど気を使わなくていいので楽というわけです。

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じゃあ、なぜそんな薄肉が可能になったかというと、薄肉にした代わりに、先端の周囲に強度の高いカーボンファイバーを巻きつけて補強しているんです。これで、広がったり割れたりしにくくなったというわけ。手動/インパクトどちらにも使えるそうです。

■安価で信頼できる緩み防止ボルト

今回の東京モーターショーでも、機械フェチの私がイチオシなのが、ねじのメーカーであるイワタボルト。

こういうのが好きなひとなら、半日は楽しめそうです。なにがって、さまざまな機能を持ったねじがいっぱい! これはそのうちのひとつ、ゆるみ止め、戻り止め脱落防止ボルト「SLボルト」というものです(模型です)。

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従来のゆるみ止めボルトというのは、ネジ山のところに接着剤やナイロンを塗布して、いちど締めたネジが振動などによって回ってしまうのを防いでいたんですね。しかし、このSLボルトは、ねじ山山頂に設けた微少突起が、めねじのフランク面と接触することで、回転によるゆるみと脱落を防止するというものです。接着剤やナイロン塗布のような二次加工が不要なので低コストででき、オールメタルなので熱の影響も小さいというわけです。

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イワタボルトのブースには、そんなふうに、細かい工夫がされたねじがいっぱい。ねじの分野にこれほどの世界がひろがっていたのか! と感動します。

クルマやバイクも面白いんですけど、「神は細部に宿る」っていうじゃないですか。専門メーカーの技術の粋を集めた個別の部品って、面白いですよ〜。

というわけで、機械好き、金属好き、加工好きのひとは、部品ブースも見てみることをおススメします。

(まめ蔵)

この記事の著者

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まめ蔵

東京都下の農村(現在は住宅地に変わった)で生まれ育ったフリーライター。昭和40年代中盤生まれで『機動戦士ガンダム』、『キャプテン翼』ブームのまっただ中にいた世代にあたる。趣味はランニング、水泳、サッカー観戦、バイク。
好きな酒はビール(夏場)、日本酒(秋~春)、ワイン(洋食時)など。苦手な食べ物はほとんどなく、ゲテモノ以外はなんでもいける。所有する乗り物は普通乗用車、大型自動二輪車、原付二種バイク、シティサイクル、一輪車。得意ジャンルは、D1(ドリフト)、チューニングパーツ、極端な機械、サッカー、海外の動画、北多摩の文化など。
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