自動運転機能を搭載した電気自動車がボッシュのテスト車両に加入

テスト車両は通常、測定装置やセンサー、機器類を装備しているため、外観からすぐにテスト車両だと分かるのが当たり前です。しかし、上の写真を見て分かるように、今回ボッシュのテスト車両に追加されたテスラの新型モデルSの場合は、車両の外観を見ただけではテスト車とは分かりません。

この2台のテスト車両は、自動運転システムのさらなる改良に取り組んでいるエンジニアの大きな力になっています。このテスト車両は一見したところでは、一般の量産モデルと区別することはできません。

「ボッシュは、様々なタイプの量産車に対応可能な自動運転システムを開発しています」と、ボッシュ取締役会メンバーのディルク・ホーアイゼル氏は述べています。新しいテスト車両は、必要なシステムとコンポーネントの統合に関してボッシュがこれまで推し進めてきた進歩を証明するもので、ドイツ/ボックスベルクで2015年5月19~21日に開かれた第62回インターナショナル オートモーティブ プレス ブリーフィングで公開されました。

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従来から知られているボッシュの自動運転関連技術には、ACCと呼ばれているアダプティブ クルーズ コントロールがあります。このACCは、追突事故を回避するために開発されたもので、ACCの機能は、自動的に車両を加減速し走行速度を調整することができます。交通量の多い状況でも、ACCがあれば前走車との間に事前に設定した安全な車間距離が確保されるため、ドライバーは目の前の運転状況に集中することができるというものです。

しかし、今回発表された自動運転のテスト車に要求される機能は、このACCのように単に前方の車両への追突を防止するだけでは不十分で、自動運転機能を満足するためには、少なくとも360度の全方位の監視/警報/制御の機能が必要になるわけで、このような高度なシステムを、今回発表されたテスト車のように自動運転なしの普通の車両とほとんど変わらない外観に纏め上げるには、どのような技術が搭載されているのか、という点に興味がつきません。

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ボッシュによると、テスト車両を自動運転のテスト用に改造するために、各車両に50個の新しいボッシュ製コンポーネントが取り付けられ、車線、交通標識、空きスペースを認識するために車両が使用するステレオビデオカメラ(SVC)も組み込まれました。このSVCは、自動車アプリケーション向けに現在市販されているステレオカメラシステムの中では最小サイズとなっており、非常にコンパクトであることから、車両に簡単に組み込むことができます。

こうしたボッシュのテクノロジーにより、2台のテスラ車両は現在、ドライバーが常時監視しなくても高速道路の入口から出口まで自律走行できるようになったと発表しています。

また、ボッシュの発表によるとテスト車両にはいずれも、電動ブレーキ ブースター「iBooster」とブレーキコントロールシステムである横滑り防止装置ESC(エレクトロニック スタビリティ コントロール)が装備されています。これらのボッシュ製コンポーネントは、ドライバーの介入を必要とせず、互いに依存することなく車両を制動することができる、ということです。

今回の発表では、残念ながらそれ以上の自動運転テスト車に搭載したシステムについての詳しい説明はありませんでしたが、今後のボッシュの自動運転技術がどのように発展していくかが気になるところです。

(山内 博)