お寿司で何を食べるかも任せられる!? 「KONDO Racing Team」二人のドライバーは互いを認める絶妙コンビ

KONDO Racing Teamで戦う二人のドライバー、佐々木大樹選手とルーカス・オルドネス選手。

この2人のドライバーの人となりを探るため、SUPER GT 第2戦「2015 AUTOBACS SUPER GT Round 2 FUJI GT 500km Race」の予選終了後に直撃インタビューを敢行!レースへの取り組みを含めて、2人が向き合うSUPER GTというものを語っていただきました。

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先ずは佐々木大樹選手から伺います。

clicccar(以下C)「GT300からGT500に移って2年目となるのですが、大きく変わった部分と言うのはありますか?」

佐々木大樹選手(以下S)「速さを追求すると言うことでは大きな変化はありませんが、2年目の今年は、ルーカス(・オルドネス)選手や(ミハエル・)クルム選手と組むことになって、自分がチームを引っ張っていかなくてはならないという思いを抱いています。しっかり事前に準備をして、考えて、どうやって速さをコンマ1秒でも刻むか、ということをやっていますね」

C 「実質、このチームのドライバーとしてのリーダーですよね。プレッシャーは無いですか?」

S 「プレッシャーはありませんね。やることはひとつ、速さを追求して勝つということだけですから。第一ドライバーだろうが第二ドライバーだろうが思いは一緒なので、そこは去年と同じ気持ちです。」

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C 「今回の予選では佐々木選手がQ1を6位で通過し、ルーカス選手がQ2でポジションをひとつ上げる5位となりました。佐々木選手はうまくバトンを繋げて行ったという感じでしょうか?」

S 「そうですね。フリー走行までは13番手であまり調子は良いとはいえませんでしたが、色々考えて、チームやヨコハマタイヤのスタッフとも話し合いながらQ1を通過するところまで自分を持っていいきました。そしてルーカス選手に渡して、チームで、みんなでひとつになって、最後に5番といういいポジションで予選を終えることが出来ました。ドライバーとしては周りには速いドライバーは沢山いますが、こちらはチームとしてしっかり戦えたことはすごく良かったと思います」

C 「ルーカス・オルドネス選手は、佐々木選手から見て、どういう選手ですか?」

S「すごく勉強熱心で、自分と一緒にいても、ここはどう走るのか?を本当に熱心に聞いてきます。そして走行のロガーデータを全てホテルに持ち帰って、その日の晩に全て研究してから翌日の走りに活かすようなことを毎回しています。自分は努力をしてきた人は必ず報われると思っているので、そういう面でルーカス選手は凄い努力を重ねていて、それこそプロだな、と思っています」

C 「佐々木選手も勉強熱心という評判ですが、レースについてはどういうところで考えを巡らせるのですか?」

S 「レースについては常に、どんな時でもいろんなことを考えています。常に考えて考えて、食事をしていて急に閃くこともあったり、それを活かすにはどうすればいいかをまた考えて。本当にいつも、そういう風に考えています」

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C 「最後に、このKONDO Racing teamが他のチームよりも優れている、誇りに思う点を教えてください」

S 「近藤真彦監督はレースそのもの自体が大好きで、常に目の前の一戦に集中しているところですね。その一戦に勝つという気持ちが大事で、その気持ちがひとつになっているというところです。本当にいいチームに来れてよかったな、と思います」

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続いて、ルーカス・オルドネス選手にもお話をうかがいました。

C 「ルーカス選手はGTアカデミー(※)出身と言うことですが、ゲームやシミュレーターなどのバーチャルレーシングと、リアルなレーシングカーの共通する部分や違いなどを教えてください」

※GTアカデミーとは、プレイステーション3のドライブシミュレーター「グランツーリスモ5(現在は6)」を使用して、ゲームプレイヤーの中から現実のレーサーとしての才能を発掘することを目的としてヨーロッパで開催されたプロジェクト。現在、プレイステーション4のグランツーリスモ6を使用したプロジェクトが日本でも開催されている。

ルーカス・オルドネス選手(以下L)「7年前にゲームでチャンピオンになってリアルなレーサーになれるというのは夢のような話でした。現在のシミュレーターはもっと完成度が高く、トレーニングのひとつの主流になっているので、シミュレーターでトレーニングを積めば自分の能力も上がってきます。リアルのレーシングカーは音や振動、そしてドライバー同士の争いなどが加わるのでアドレナリンが吹き出てくるのがわかります」

L 「ひとつ付け加えるならば、バーチャルのいいところは、クラッシュしてもお金がかからないし、リセットをすればいつでも新車に戻せるところですね(笑)」

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C 「ところでヨーロッパと日本の違いはどんなところですか?」

L 「ヨーロッパはモータースポーツが盛んですが、レースでは全出場車が同一のコントロールタイヤを使います。ところが日本は、タイヤメーカー同士の戦いもあって、その部分からより一層レベルが高くなっていると思います。また、日本にはレースファンが非常に多い。F1でなら、これぐらいの観客が集まることは珍しくありませんが、SUPER GTのようなツーリングカーのレースにこんなに沢山のファンが来てくれることはエキサイティングですし、素晴らしいことだと思います」

C 「昨年はGT300クラスで活躍し、今年はGT500クラスに移ってきて、大きく変わったところはどんなところでしょう」

L 「一番大きな変化はドライバーです。GT300はジェントルマンドライバーとプロドライバーが同じカテゴリーを走りますが、GT500にはプロドライバーしかいません。そこに自動車メーカーやタイヤメーカーの意地もぶつかり合って、非常にプロフェッショナルなレースをしています」

C 「ルーカス選手から見て、チームメイトの佐々木大樹選手はどんな選手ですか?」

L 「(佐々木)大樹選手は非常にクレバーなドライバーで、クルマに関する知識や理解力も非常に高く、その上英語も話すことが出来るのでコミュニケーションを取ればとるほどいい方向に向いていきます。彼はレーシングカートでアジアパシフィックのチャンピオンだったこともあってスピードに対するセンスも非常に高く、彼から学べるところは非常に大きい」

L 「また、日本に来て困ることが多々ありましたが、例えばウナギってなんだとか、お寿司屋さんで何を頼めばいいのかということ、そして生活面についても大樹選手が教えてくれるので、非常にいいチームメイトだと思います」

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C 「KONDO Racing Teamの印象を教えてください」

L 「開幕戦の岡山で、あの変化の激しい雨の、タフなコンディションでもしっかりポイントを取ることができたし、今回の富士での予選も5番手といういいポジションを取ることが出来たのは、チームの力が非常に強いからだと思う。また、この次のタイはKONDO Racingにとっても、またヨコハマタイヤにとっても非常に相性のいいサーキットなので、ここで確実に優勝を狙って行きたい。それが出来ればチャンピオンへの道は確実に見えてくると思う」

L「ただ残念なのは、私自身は、今年のGT500はタイ戦が最後となり、その後は世界耐久選手権に出場することになります。その後にこのチームに戻ってくるミハエル・クルム選手と、チームメイトの大樹選手に任せるしかないことが心残りではあります」

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インタビューを終えて、この両者がお互いにリスペクトし合い、お互いを高めていく姿がとても印象的でした。そしてチームへの信頼度の高さから、心置きなくレースに取り組んでいける様子がひしひしと伝わってきます。

この二人のドライバーの活躍を心から応援したい、そんな気持ちになるインタビューでした。

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(写真:吉見幸夫 文:松永和浩)

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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