スバルのベーシックセダン「インプレッサG4」は年改でどう進化したのか?

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ステアリング操作の反応など、フロントは狙い通りの進化が確認できるもので、単にベーシックな4ドアセダンではなく、いかにもスバルというブランドに期待するリニアリティを手に入れているように感じます。

しかし、最初の印象は長く続きません。そのままロールさせていくと、あるところでリヤ内輪の接地感が急に薄くなり、大きなヨー(クルマが回ろうとする力)が発生します。

この一連の動きは、クイックなハンドリングという期待には応えてくれるものですが、最新のスバル車とはちょっと違う印象を受けるものです。

レヴォーグ以降、WRXやレガシィといったスバル車には、タイヤを面でしっかり接地させるシャシー、過渡特性の非線形性をマイルドにするセッティングが施されている傾向にありますが、インプレッサG4のハンドリングは、フロントはレベルアップしているものの、リヤがバランスしていないと感じるともいえるでしょうか。

このあたりの挙動について開発スタッフによれば、乗り心地を確保するための柔らかめのスプリングレートとしていためにウレタン製バンプストッパーを使う領域がスバルの他モデルよりも広い(早い)傾向にあり、その比較において限界域に近づいていくと、上記のような挙動を示すこともありえるだろうと言います。

コスト、ニーズ、優先順位……様々な要素を考慮しつつ、常にベストと思えるクルマへと仕上げるのがスバルの年改。現時点では、ステアリング操作にしっかりと反応するハンドリングとなっていますが、ベーシックセダンとしての「G4」の基本部分は、あらゆる方向に進化する余地を残しているともいえそうです。

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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