恍惚と深慮の10分間。
なんという哲学的な動画でしょうか。すみません。本当はこういう動画こそ、お正月の時間があるときに見るべきであり、そのためには年末に記事にしておくべきでした。遅くなったことをおわびします。
この動画、なにかというとポルシェ918スパイダーを組み立てている工場で、その作業を淡々と写しているんですね。でも、これクルマ好きが興奮する動画でもないと思うんです。そんなにメカメカしくないし、ひとつひとつの作業は、それほど高度に専門的ではないんですね(もちろんそれなりの熟練を要することはわかりますが)。
とにかく手作業です。こんなこと手作業でやる必要があるんだろうか? オートメーションでいいじゃん、って思うようなことまで手作業でやってます。もちろん、大量生産品はオートメーションで作ったほうがコストがかからないけど、少量生産品は手作りで製造したほうがコストがかからないという経済上の理由もあるんだろうけど、それだけかな?
少なくとも雇用は生み出してますよね。1:37あたりに出てくる女性がかぶっているのはヒジャブのように見えるからムスリムの移民なのかな。想像できるのは、おそらくこの作業を行っているひとのほとんどが、自分の仕事に誇りを持ち、仕事を楽しんでいるんじゃないかということです。
ポルシェ918スパイダーを購入するひとは、単に高性能なクルマを買っているというわけではなく、大衆車の製造よりも労働の喜びが得られるような内容の雇用を生み出しているんじゃないかと感じるわけです。高価格車を買うということは、そういう”意味”や”役割”もあるのかな。買っているひとが意識しているかどうかは知らないけど。
映像もキレイで、最近の”こけおどし動画”でありがちなブツ切り編集をしていないので、むしろじっくり楽しめます。かなり上質な動画だといえるんじゃないかな。10分間いろいろなことを考えながら、フルに見てしまいました。工業製品のモノづくりのありかたというのは、どうあるべきなんでしょうね。