アウディS1/S1スポーツバックに試乗してわかったホントのいいもの感!

久々に欲しいな、このクルマ。と思いました。

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最近発売されるクルマってどれもよくできています。多かれ少なかれ、安全装備があって環境対応は万全で、という謳い文句があってそれなりに達成しています。

で、このアウディS1にもそういったものは搭載されているんですが、それにプラスして「いいもの感」があるんですよ。

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サイズが小さくても高級感は上級クラスと同じ、というと、プレミアムコンパクトと言われるクルマはみなさんそう言っているんですが、このS1にはとくにそれを感じさせます。

スイッチ類やステアリングなどの可動部分の動きとか、ドアの開閉、走り出しの瞬間、シートの張り具合などなど、全体のバランスが大きなクルマと変わらない感覚を持ち合わせています。

それを4mを切るボディに収めているので、グッといいもの感が増している感じです。

最近の人にはわかりにくいかも知れませんが、SONYのカセットテープケースより高さが小さい2代目ウォークマンとかパスポートサイズのハンディカムTR55とかに通じるようなギッシリ感が伝わります。

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ベースとなっているのはA1ですが、外観から別物の雰囲気を漂わせています。

前後バンパーはもちろん、18インチのアルミホイールやS1のロゴが入る大きなブレーキキャリパーは赤またはブラックとなります。

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駆動はもちろんクワトロ、すなわち4WDで、アクセルを踏もうが、ハンドルを切ろうが、ブレーキを踏もうがなにをしてもタイヤが路面に貼付いているように感じさせます。

S1に備わるドライブセレクトがまたこの車両のキャラクターを際立たせます。「効率」「オート」「ダイナミック」と切り替えが可能で、それぞれ、ステア特性、エンジン特性、エンジンサウンド、ダンパーなどをその走り方にあわせて選択してくれます。効率ではエアコンの効き具合もセーブします。

これがかなりキャラクターを変えてくれて、「ダイナミック」ではダイレクトな乗り心地と室内と外部マフラーで迫力あるサウンドを響かせ、かなりヤンチャなクルマを演出してくれますし、それがこのクルマの本領だとわからせてくれます。

峠道をヒュンヒュンと駆け抜けるのが楽しくなって、自分の運転がうまくなったように思える感覚です。

ですが、「効率」や「オート」ではしっとりした乗り心地、静かな排気音で「小さな高級車」と変貌してくれるんです。ショートホイールベースとは思えないどっしり感です。

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ほぼ1人または2人乗車ならS1を、4人乗ることが時々あるならスポーツバックを選んで、人や荷物をたくさん積む用事があればレンタカーやカーシェアリングのお世話になればいいんじゃない? とホンキで考えてしまいます。

その価格はS1が410万円、S1スポーツバックが430万円と、安いクルマではありませんが、高級車と考えればお安いほうです。ムダな大きさにコストをかけなくていいと考えればリーズナブルに感じられるでしょう。アウディのSシリーズを最低価格で手に入れられるとも言えます。

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S1/S1スポーツバックで、もしかするとイチバンネックになるのは変速機かもしれません。ATはなく、6速のマニュアルのみしかありません。

AT限定だったり、奥さんがマニュアルはダメって言うご家庭には残念ながら向いていません。

でも、マニュアルしかない、それを運転している、というのがさらにクルマとドライバーに「特別感」を味あわせてくれるとも言えます。

まさに、「プレミアム」をこんなとこでも感じさせてくれるアウディS1/S1スポーツバックなのでした。

(小林和久)

 主要諸元

車名 Audi S1 2.0 TFSI quattro/Audi S1 Sportback 2.0 TFSI quattro
型式 ABA-8XCWZF
全長 (mm) 3,990
全幅 (mm) 1,740
全高 (mm) 1,425/1,440
総排気量 (cc) 1,984
エンジン種類 直列4気筒DOHCインタークーラー付ターボチャージャー
最高出力 [ネット] 170kW (231PS) / 6,000rpm
最大トルク [ネット] 370Nm (37.8kgm) / 1,600-3,000rpm
駆動方式 フルタイム4WD
トランスミッション 6速マニュアル
価格 410万円/430万円

この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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