三菱重工業と千代田化工建設が先頃、原油生産用海上プラントでの水素製造を可能にしたと発表しました。
両社は水素や炭酸ガスを製造・出荷する洋上浮体施設「FPSO」(Floating Production Storage & Offloading unit)の共同開発を完了、日本海事協会から「AIP(設計基本承認)」を取得したそうです。
世界初となる水素エネルギー製造が可能な「FPSO」実現により、今後の海洋資源開発やクリーンエネルギーの利用拡大に大きく貢献出来るとしています。
(出展 三菱重工業)
海底油田上に設置された洋上プラントで原油の掘削に伴って出てくるガスから水素を抽出後、液化して貯蔵・輸送するというもの。
「水素の液体化で体積500分の1に! FCV(燃料電池車)に革命!!」でご紹介した千代田化工建設の「水素(ガス)⇔ MCH(液体)」の相互変換技術が活かされています。
具体的には水素を有機溶剤のトルエンと化学反応させて「MCH(メチルシクロヘキサン)」に変換、体積を500分の1に縮小することで常温・常圧下に於ける安全な状態での水素貯蔵や輸送を実現しています。
三菱重工の船舶技術と、千代田化工建設の水素変換技術を合体、安全性評価を経て今回AIPを取得、MCH化された水素は既存の輸送船で運搬が可能となり、専用の水素運搬用船舶への投資が不要となるため、輸送コストの低減が可能になると言います。
目的地へ運搬された水素は特殊な触媒を用いてガス状とする千代田化工の「脱水素化技術」によりMCHから水素ガスに戻され、既存インフラに供給する計画。
こうした新たな取組みにより、水素が安価に供給可能になればFCVの普及にも弾みが付くにちがいありません。
■三菱重工業株式会社 水素製造洋上浮体施設
http://www.mhi.co.jp/news/story/141024.html
■千代田化工建設
http://www.chiyoda-corp.com/news/pressrelease/2014/102401.pdf
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