「3Dジャイロを搭載しなくても正確な自車位置を出せる」とのマツダの読みは、カーナビメーカーが聞くと驚くでしょうが、今後、高架が多く、上り下りなどがある都市部でどうやって正確な自車位置表示を出していくのか注目です。
オーディオレス車専用の「マツダ・スマートナビゲーション」を販売店オプションで選べば3Dジャイロ搭載仕様になりますが、コマンダーコントロールでの操作ができなくなるのは泣き所。
しかし、新しいインターフェイスを「モノにする」のはどのメーカーでも容易ではなく、いち早く参入したアウディをはじめ、BMW、メルセデス・ベンツ、そして新しいタッチパッド式をRXなどに採用したレクサスのリモートタッチも素直に使いやすいと納得できるレベルではなく、多機能を統合的に操作させるインターフェイスの開発はどのメーカーにとっても課題でしょう。
ディーゼルエンジンの搭載と運転のしやすさを両立すべく、前輪を前に80mm移動させ、20mm右にペダルを配置し直した新型デミオは、確かにペダル配置もコンパクトカーにありがちな「中央寄り」という違和感なく、アテンザやアクセラと同様にステアリングとペダルのオフセットもほとんど感じられません。
さらにチルト&テレスコピックも標準ですから、幅広い体型の人に最適なドライビングポジションを提供するという、コンパクトカーであっても当たり前の装備を用意してきたのもマツダの良心を感じさせます。
しかし、新型デミオはサイドウインドウが後ろに行くほど少しずつ跳ね上がるダイナミックなデザインを採用し、リヤウインドウも天地高が短いため、斜め後方を把握しやすいとは言いがたく、運転席に座るとボンネットは当然見切れず、包まれ感のある空間ということが分かります。
小さいボディですから取り回しに苦労することはないでしょうが、三角窓を用意してとくに前方左右の視界に配慮したフィットとの差は感じさせます。
ただし、サイドウインドウやリヤウインドウを小さくしてスポーティに見せる手法はデミオに限ったことではなく、デザインと機能(機能美)の両立を高次元で成し遂げている、たとえば初代パンダのような良品コンパクトカーが減っている気も。
また、注目のディーゼルはアイドリングストップしていれば当然気になりませんが、ほかのマツダ車と比べるとディーゼル特有のカラカラとした音がより透過してくるように思えるのは、コスト面でよりシビアなコンパクトカーならではの弱みかもしれません。
フロントノーズが重く、強めのアンダーステアに終始するディーゼル仕様は、タイヤも当然ながらエコ系タイヤを履くこともあり、素直なハンドリング特性でありながらもグリップはもう少し。
実用車のコンパクトハッチに求めるのは苦かもしれませんが、スイフトスポーツのような軽快感があってフットワークも楽しめる仕様を出すには、ディーゼルはエンジン重量が重すぎて「荷が重い」のかもしれません。
■「2014-2015日本カー・オブ・ザ・イヤー」をマツダ・デミオが獲得したワケは?
https://clicccar.com/2014/10/13/273039/
■新型デミオのガソリンも軽やかな走りで捨てがたい!
https://clicccar.com/2014/10/07/271932/
■マツダ新型デミオで長距離を走るクルマ好きなら迷わずディーゼルを選びたい!
https://clicccar.com/2014/10/03/270872/
(塚田勝弘)