今年4月1日以降、消費税増税でガソリンの全国平均小売価格が1L当たり一律+5円上昇しました。
その後も価格上昇は止まらず、10年前に110円/L台だったレギュラーガソリンの平均小売価格は6月末時点で167円/Lと、実に+60円近くも上昇しています。
満タン50Lのクルマの場合、1回の給油で3,000円近くも出費が増えている計算となり、消費者の家計を大きく圧迫している事は言うまでもありません。
以前にも触れたとおり、ガソリン価格はリーマンショックにより、価格相場が一旦急下落した後、再び右肩上がりで上昇中。
本来ガソリンは為替相場に影響されて価格が変動する筈ですが、下グラフからも判るように、民主党政権(2009年9月‐2012年末)による超円高の最中も下がるどころか、上昇し続けるなど非常に不可解な値動きを見せる「輸入品」。
※原油CIF(Cost, Insurance and Freight)価格
日本国内入着平均価格(税関を通った原油の運賃・保険料込み価格)
ガソリンの小売価格は当然ながら原油価格の変動に綺麗に沿っており、その原油価格が変動する主要因は原油が「投機対象」になっている為と言われています。
2008年のリーマンショック以前は比較的、為替相場に連動した動きを見せていましたが、リーマンショック発生以降から原油の値動きが為替相場と乖離し始めています。
中東などの産油国が原油価格を下げれば投機マネーが原油市場に流れ込み、その後高値で原油が売買される為、一旦価格が上昇し始めれば投機が集中して、どんどん右肩上がりに原油価格が上昇するというカラクリのようです。
それだけでは無く、原油輸入価格に対する政府統制が利いていない可能性や「燃料税」に「消費税」をかけている2重課税の問題も未解決の状況。
<ガソリン販売価格の内訳>
(ガソリン本体価格+ガソリン税 +石油税+原油関税)×消費税(2重課税)
1L当たり「53.8円」のガソリン税の中で1974年当時から現在に至るまで長きに渡って延々上乗せされたままの暫定税率分「25.1円」についても問題。
しかも2012年10月以降、毎年税率がアップする「地球温暖化対策税」も追加されています。
まさに課税の温床とも言うべき燃料税ですが、こうしたガソリン価格の上昇は消費者の家計だけでなく、ガソリンスタンドの経営も圧迫しており、年々廃業に追い込まれる比率が増加(前年度比+26%増)しています。
特に近年、新車販売の4割を軽自動車が占めるようになり、HVなどの低燃費車が販売の中心となっていることから、ガソリン需要自体が減少傾向にあり、原油価格の上昇や多大な課税と相まってトリプル・パンチを受けている状況。
さらには40年超え地下タンクの老朽化対策費用も重荷となり、経産省 資源エネルギー庁の発表によると、1997年以降、毎年1,000拠点を超えるガソリンスタンドが消滅している模様。
燃料への理不尽な課税制度は自動車ユーザーだけで無く、自動車会社にとっても利幅の少ない小型低燃費車しか販売が伸びず、ひいては安倍政権が目指す経済成長の足かせにもなりかねません。
政府の積極介入による原油輸入価格の是正や燃料への過度な課税制度の見直しを実施しない限り、こうした悪循環は続き、水素で走る「燃料電池車」の普及を後押しする以前に手を打つべき課題が山積しているのが実情という訳です。
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