使用済みとなったクルマは、解体業者等でエアバッグやエアコン用の冷媒を回収、エンジン、ドア、フードなどの蓋物類やランプ類、バンパー、タイヤ&ホイール、触媒用の貴金属類などを取り外した後、スクラップ処理されます。
クルマには有用金属が多く使用されていることから、総重量の約80%がリサイクルされ、残りの約20%がシュレッダー後の残留物「ASR」(Automobile Shredder Residue)として長らく埋立処分されて来ました。
しかしながら産業廃棄物最終処分場の逼迫(ひっぱく)に伴い、「ASR」処分費用が高騰、廃車の不法投棄・不適正処理の懸念が増大。
さらにエアバッグ展開用の火薬やカーエアコンの冷媒に使うフロンガスの処理に専門技術が必要とされたことから、これらを適正に処理すべく、政府は2005年1月に「自動車リサイクル法」を制定。
これに伴い各自動車メーカーは使用済自動車から発生するASR、エアバッグ類、フロン類の特定3品目の引き取り、リサイクル、適正処理が義務化されました。
その後、自動車メーカー間でリサイクル率の競争が激化、各社のASR再資源化率は2015年度からの法定基準値である70%を既に大きく上回る状況となっています。
各社の再資源化率はエアバッグ類を含めて90%台と高く、リサイクル事業としての収支についても2億円~8億円台に達している点が注目されます。
また環境省によると、使用済自動車の引取り台数は2010年度が365万台、2011年度が296万台、2012年度が341万台といった状況で、2004年に約22万台存在した不法投棄や不適正保管は2012年には約8,700台に減少したと言います。
ちなみにクルマを廃棄処分する際には所有者がリサイクル料金を負担します。
実際の運用上では新車購入時にリサイクル料金を支払う流れとなっており、支払い証明書となるリサイクル券と領収書が発行され、所有者は車検証と共に確実に保管。
将来的にマイカーを廃棄処分では無く、売却する場合はリサイクル料金支払い相当額が売却先から返還されるシステム。
リサイクル業界では近年のHV普及により、高価なレアメタルの回収など、新たなリサイクル技術が求められており、自動車メーカーとリサイクル業界の連携が益々重要になりつつあるようです。
■環境省 自動車リサイクル関連 Webサイト
http://www.env.go.jp/recycle/car/
■トヨタ自動車リサイクル資料(PDF)
http://www.toyota.co.jp/jpn/sustainability/report/vehicle_recycling/pdf/vr_all.pdf
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