トラックドライバーにとって、トラックは大事な相棒。自分好みにカスタムしたい気持ちもわかります。でも、なかには不正改造に当たるカスタムもあるので、気を付けてほしいものです。
先日、よくある乗用車の不正改造を紹介しましたが、6月度(6/1-6/30)は「不正改造車排除」の強化月間ということもあって、今回は気をつけたいトラックの不正改造例も紹介しておきましょう。
1.荷台さし枠の取り付け、突入防止装置の切断・取り外し、および排気管の開口方向違反
まずは荷台の不正改造。トラックでありがちな違反は過積載です。道路には想定している荷重があるので、過積載のトラックが通ると傷んでしまうんですよね。また、過積載のトラックは重量が重くなるので、ブレーキをかけても止まりにくくなります。
これらの理由により、過積載につながる荷台の加工等も不正改造になります。特にダンプの場合ですが、容量の大きい荷台に交換したり、さし枠を装着したりしていると不正改造になります。荷台の一部を高くするなどの加工もダメです。
次は後方の不正改造ですが、トラックの場合、ふつうの乗用車よりもだいぶ背が高いですよね。そして車両の下側は開いています。そこで後ろから乗用車がぶつかった場合、車体の下にもぐってしまいやすく、大変危険なのです。これを避けるために突入防止装置というものがついています。バンパーみたいなものが低い位置についているんですね。これを取り外すと不正改造になるので注意してください。
そして排気管の不正改造。トラックは、ふつうの乗用車とちがって、排気管が車体の横についているものが多いです。ただし、排気口の向きは横に向いていてはいけません。歩行者に排気ガスが直接かかってしまうからです。なお右でも左でもダメです。出口は後ろを向いていないといけないんです。
2.前面ガラス等への装飾板の取り付け
トラックのフロントガラスの下側を覆っているのを見かけます。アレは、自分のヘッドライトの道路からの反射を防ぎ、運転が楽になるという人もいるようです。また、トラックの前面ガラスは広いので、ついなにか装飾板等をつけたくなるひともいるのかもしれません。
しかし、そういったものの前面ガラスへの取り付けは運転手からの死角を増やすことになるので、危険につながります。フロントウインドウだけでなく、運転席横、助手席横のガラスへも装着不可です。なお、より厳密にいえば装飾板あるいは着色フィルムを貼り付けたときに可視光線透過率が70%未満になると違反ということになります。
3.スピードリミッター取り外し
大型トラックも高速道路で定速走行をしているだけならわかりにくいのですが、ひとたび何かあったときには、重量があるので非常に止まりにくく、危険を避けにくい車両です。そのため大型トラックの速度超過は重大事故につながる非常に危険な行為です。そこで車両総重量8t以上または最大積載量が5t以上のいわゆる「大型貨物自動車」は時速90キロ以上出せないように速度抑制装置が取り付けられています。これを取り外すと不正改造になります。また、速度抑制装置を装着していることを示す黄色のステッカーが車室内の運転者の見やすい位置および車両の後面に貼付されていなくてはいけません。
4.基準を超える黒煙の排出
ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンよりも低速トルクが出るのが特徴で、トラックには多用されていますが、ガソリンエンジンよりも黒煙を出しやすく、公害の原因になりがちです。そのため、ディーゼルエンジン車には黒煙汚染度の基準が設けられています。この基準を超える黒煙を排出するトラックは不正改造とみなされますので、黒煙排出量を基準値以下に抑えるような対策を施さなくてはいけません。
■自動車点検整備推進協議会HP(点検.com)
http://www.tenken-seibi.com/husei/index.html
■国土交通省HP
http://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/02altered/index.html
(まめ蔵)