日本の技術で電池革命?「デュアルカーボンバッテリー」でEVが480km走行可能に!

EVの普及を足踏みさせている航続距離不足。その根源となっている「バッテリー」に革命が起きようとしています。 

蓄電池の画期的性能向上に取り組んでいるのが九州大学とタッグを組むベンチャー会社「Power Japan Plus(パワージャパンプラス)」。

Power_ Japan_Plus

同社によれば既存の「リチウムイオン電池」は容量密度が大きい反面、安全性を向上させるとエネルギー密度が低下して大きく重くなり、原理上、出力特性の向上に限界が存在すると言います。 

また電池の劣化防止のために充放電を制限する必要があり、これがエネルギー密度を上げられない原因の一つになっている模様。 

一方、高速充放電が可能な「キャパシタ」は電極反応を伴わないため、蓄電池に比べてエネルギー密度がはるかに小さいのが難点。 

Dual_Carbon_Battery

そこでこれらの課題を克服すべく、Power Japan Plusと九州大学の石原達己大学院教授は高速充放電が可能でリチウムイオン電池並みの高エネルギー密度を実現できる新方式の蓄電池、「デュアルカーボンバッテリー」を開発。

 Tatsumi_IshihalaKyushu_University

リチウムイオン電池比で遥かに高い出力密度を有し、軽量且つ安全で繰り返し寿命に優れており、セル型電池化が可能なことから、EVやPHVに搭載すればエネルギー回生率が大幅に向上。

1回の充電で300マイル(480km)の連続走行が可能としています。 

Power_ Japan_PlusPower_ Japan_Plus

また、レアメタルやレアアースを必要とせず、100%リサイクル可能なのも大きな利点。4V以上で動作し、リチウムイオン電池比で20倍の高速充電が可能になる模様。

Power_ Japan_Plus

Power Japan Plusでは「デュアルカーボンバッテリー」をまず人工衛星や医療機器で活用し、その後EV用としても提供して行く考え。 

同バッテリーの登場はEVを手掛ける自動車各社にとっても大きなトピックになりそうです。 

■Power Japan Plus Webサイト
http://powerjapanplus.com/ 

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 (Avanti Yasunori) 

【画像をご覧になりたい方はこちら】 https://clicccar.com/2014/05/23/256975/

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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