2007年に米国の地価低下で「サブプライム」と呼ばれる低所得者向けの住宅ローン借入れ層が次々に住宅を手放した為、ローン返済が焦げ付いて住宅バブルが崩壊。
米国第4位の投資銀行だったリーマン・ブラザーズがその処理に失敗して経営が破綻、政府が公的資金投入による救済を見送ったことで2008年9月にあえなく同社は倒産。
これを契機にNYダウ平均株価が暴落し、その余波は欧州など世界中に連鎖して、大規模な世界金融危機に発展しました。
大型車が販売のメインだった事から既に低迷傾向だったGM、クライスラーもあおりを受けて株価が下落、資金繰りが出来なくなって2009年には両社揃って経営が破綻。
その後、米政府の公的資金投入により急速に息を吹き返して現在に至っています。
そんな「世界金融危機」からまもなく6年が経過しようとしていますが、日経新聞によると、ここ数カ月、「サブプライムローン」が再び力強い回復を遂げている模様。
但し今回は「住宅」ではなく「自動車」に関連するもので、この新たなブームが消費者だけでなく投資家の間に再び多くの犠牲を生み出す可能性が有ると指摘。
その根拠として自動車ローンの借り入れが3年間で25%も急拡大しており、それが新車販売の急速な伸びに繋がりGMなど米自動車大手が潤っている点を挙げています。
従来はサブプライムローンが全体に占める割合は10分の1だったものの、今年2月には3分の1に達しているとか。
GMの場合、特にサブプライムローンを組む割合が高いようで、新規の1割が以前は融資を受けるチャンスが相当に低かった消費者向けの「ディープ・サブプライム」。
米国の消費者は自家用車への愛着が強く、あらゆる手段で手に入れる傾向が有る上に、ローン返済が出来なくても手放してしまえば後の返済が不要というシステム。
しかも「サブプライムローン」は貸付の審査基準が甘い反面、金利が20%にも達する商品も有るようで、デフォルト率が約1%と低い自動車ローンも、これ以上金利が上がればデフォルトの危険性も上昇。
慎重な投資家は自動車関連株を密かに売却しているそうで、GMによる重大不具合隠蔽問題で想定される影響以上に株価が急落している原因がここに有るとしています。
それが直接金融危機に繋がるとまでは言わないまでも、米国の景気回復の裏側では現在もこうした足元の不安定さが漂っているのは間違い無さそうです。
金融危機が再発すれば他所事では済まされないだけにこうした不穏な動きには注意が必要かもしれません。
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