日産のルームミラーといえば、ルームミラー内に後方や俯瞰映像を映し出す「アラウンドビューモニター」を思い浮かべる人が多いと思います。日産が新たに開発した「スマート・ルームミラー」は、後方の交通状況を確認する新開発の高性能狭角カメラ、ルームミラー内に内蔵された新開発の特殊形状液晶モニターから構成されています。
リヤウインドウに設置された高解像度カメラによる鮮明な画像を液晶モニターに映し出すことによって、従来よりも広くクリアな後方視野をドライバーに提供し、安全面はもちろん、快適な運転操作を可能にするのが自慢。
ルームミラーに内蔵された液晶モニターに、死角になりやすい後方や斜め後ろを走行する車両がピラーなどで遮られることなく鮮明に映し出されるため、ドライバーは周辺の交通状況を把握しやすいというメリットがあります。
さらに、背の高い乗員や荷物、ミニバンのサードシート格納などにより、後方の視界が妨げられてしまう場合でも容易に後方の交通状況を確認できるという利点もあります。
心配なのが、夜間や天候などですが、降雨時や降雪時、薄暮や夜間などの様々な環境下においても、広い範囲の後方映像を鮮明に映し出すことが可能とのこと。
また、カメラが苦手とする朝夕の逆光や後続車のヘッドライトの光に対しても、高度なカメラ制御と画像処理プログラムを採用することにより、眩しさを抑えたクリアな後方視界を映し出します。
後方映像を撮影するカメラは、新開発の130万画素の高性能狭角カメラを採用。従来の一般的な広角カメラでは、広い範囲を映し出すことができる反面、距離感をつかむのが難しく、画質も大きく悪化するという課題がありました。
今回の新開発カメラの採用で、撮影した画像を高画質はもちろん、正しい距離感でモニターに映すことが可能に。
さらに、新開発の液晶モニターは、通常のモニターのアスペクト比(4:3もしくは16:9)と異なる、「約4:1」という特殊な形状とすることで、画像をルームミラーの一部に収めるのではなく、全面に映し出すことができるのも特徴。
そこで、浮かぶギモンとして、液晶モニターとミラーを重ねるとどうやって見えるのか? という点もあります。
通常はモニターとミラーを重ねると、後からの光がミラー反射とモニターの透過によって2重像現象を発生させ、良好な視界が得にくくなります。
しかし、内部構造を工夫することによって、世界で初めて、2重像現象を発生させることなく、液晶モニターと通常のミラーとの切り替えを可能にしているそうです。
この「スマート・ルームミラー」は、今年のル・マン24時間レースやほかのレーシングカーで採用され、今年の春からディーラーオプションとしても販売がスタートします。
(塚田勝弘)