マツダCX-5の「ぶつかってしまった」体感試乗は「車両に問題なし」だが…

まだ覚えている方も多いと思いますが、2013年11月10日に埼玉県深谷市の販売店で行われた「スマート・シティ・ブレーキ・サポート」の体感試乗会で、試乗したお客さんと販売会社のスタッフが骨折などのケガをするというニュースが流れました。 

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同ブレーキサポートは、レーザーセンサーによって先行車両や障害物などを検知するシステムで約4〜30km/hという低速度域で作動し、さらに先行車や障害物との相対速度が30km/h以内の場合に衝突回避をサポート、もしくは被害の低減をするというもの。

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まず、先行車や障害物をレーザーセンサーが検知し、衝突の危険性が高いと判断すると、ブレーキの遊びを詰めることでドライバーによる素早い制動をサポートします。

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さらに、ドライバーがブレーキを踏まないなどの回避操作をしない場合に、エンジン出力を抑制しながら自動ブレーキが作動。

注意点は、自動ブレーキが作動するのは衝突の直前であるというのと、自動ブレーキに移行した状態で初めてドライバーがブレーキを踏んだ際はドライバーの操作が優先されるものの、その時点でも自動ブレーキによりすでに減速下にあり、自動ブレーキがない場合よりも衝突の被害を低減できる、という2点があります。

また、マツダに限らず、スバルやボルボなど他メーカーでもそうですが、雨天時や積雪時では物理的に制動距離も延びる可能性もありますし、カメラを使う場合では降雪時や逆光時などの天候、真っ白い壁などの障害物、レーザーでもカーブが連続する道路など、道路状況によっても作動しない場合があります。

このニュースを聞いた時、30km/h以上速度が出ていたなど、こうした作動条件を超えていた、誤操作があったのでは?と想像した方も多いのではないでしょうか。

今回、事故発生直後から警察の要請に基づき、調査に全面協力してきたというマツダでは、お客様と販売会社のスタッフへのお見舞いと、多大なご迷惑とご心配をおかけしましたという前置きをしたうえで、「警察との合同調査の結果、当該車両に故障・異常がないことを確認できた」という発表をしました。

しかし、「やっぱりな」で済ませるのではなく、条件により作動しない場合もあることをしっかり認識することも大切でしょう。ドライバーがこうした安全装備があるからと慢心するのは論外で、まだ完全なるオートブレーキでもなく、自動運転装置でもないということです。

ただ、取扱説明書を読んで理解するのがユーザーの務めとはいえ、安全に関するものであり、やや複雑なシステムで作動条件もありますから、メーカーもディーラーもユーザーに丁寧に説明する必要もあるかもしれません。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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