東京モーターショー2013のプレスデーにやってきました。
新型車にばかりに目がいきがちですが、会場にはさまざまな次世代のモビリティーが展示されていて、それぞれのメーカーの10年先、20年先への新しい提案を実際目の前で見ることができるのもモーターショーの醍醐味なんです。
その多くの展示車両の中でも特にボクが注目したこのホンダの「ユニカブ」。
両足の間にぴっ たりとおさまる非常にコンパクトなサイズで、見た目は「電動一輪車」のようなスツール型。内蔵の大きな車輪ひとつと、左右方向を変えるちっぽけな補助輪ひとつがあるだけの摩訶不思議な、いわばこれぞ未来っていう感じの乗り物です。
こんなバランスを取るのがものすごーく難しそうな乗り物を初体験の来場者がいとも容易く乗りこなしているのにまずはびっくり。
説明員に伺うとだれでも簡単に乗れて時速6キロメートル(早歩きくらい)で走行が可能。一度の充電で、だいたい6キロメートルぐらいの距離を走れるそうで、バリアフリーの施設内に特化した乗り物として開発されているそうです。美術館などの鑑賞やショッピングパーク内での移動など周囲の人に配慮しなければならない場所での活用が期待されているとのこと。
そういえば「ツインリンクもてぎ」のステージでお姉さんが自在に操っていたのを思い出しました。
今回のモーターショーでは西3・4の「スマートモビリティーシティー」で実際にこの「ユニカブ」を試乗することができると聞きつけて、さっそく体験させてもらうことにしました。
さて、この「ユニカブ」に乗ってみます。
背筋を伸ばしておそるおそる三角形のシートに腰を下ろすと、でしっかりと足が生えているような安心感でボクの体重を支えてくれます。そのままの姿勢で両足をゆっくり地面から離すとまったく違和感なしに直立していてくれるんです!!!「ほー、結構簡単じゃん」。
両足をステップに乗せてスタンバイ、まずは静止状態です。ヘリコプターでいったらホバリングの状態でしょうか、べつにこちらはバランスを取る必要もなく、ただ背筋をピンとのばしていれば簡単に静止状態をキープすることが出来ます。かといってバランスを取るために機械側がカクカクという制御をするのかと思っていましたが、そんな気配すらなくまるで椅子のようにぴしっと立っていてくれるのです。
なんとすごい制御技術なのでしょう、仰け反るくらいビックリです。
そのままの姿勢でゆっくりと重心を前に倒すと「ユニカブ」はスーッと進みます。じつに不思議な感覚です。
曲がりたい時は曲がりたい方向に体を傾けると自然なかんじで曲がって行きます。最初は慣れなかったのですが、行きたい方に視線を向けると勝手に重心が向くらしく3年やってもゴルフのスコアが120を切れないぐらい運動の苦手なボクでもスムーズに動かす事が出来るようになりました。
画像では横柄な座り方に見えるかもしれませんが、後ろに体重をかけるとバックも出来るんです。もう少し慣れれば人ごみの中でも縦横無尽に動き回ることが出来るようになるでしょう。
ほんの数分の体験でしたが思ったよりも「感覚的」に操ることができるのがこの「ユニカブ」の優れている点ではないかと感じました。まるでスマホを扱うような感覚なんですよね。感覚的な操作に加えてパーソナルスペースを超えないサイズなので床がフラットでさえあれば人を選ばす利用することが出来そうですね。
この自然な感覚と誰にでもすぐに乗りこなせる寛容さは、ASIMOをはじめとする2足歩行ロボットの技術がふんだんにフィードバックされているからだそう。
もうひとつこのユニカブの利点はセグウエイとは違い、ハンズフリーなこと。両手の自由があるからこそ、ショッピングセンターで買い物カートを押すような使い道や、軽作業などの利用に威力を発揮するのではないでしょうか。人と乗り物の親和性を極限までに実現したこの「ユニカブ」、実用化が大変楽しみです。みなさんもぜひ会場に来てこの感動体験を味わってみてはいかがでしょうか。
(テングダンディ)