トヨタ86の車名の由来はご存知でしょうか。
そもそも車名と言っているのは通称名で、本来の車名は車検証を見ると「トヨタ」などメーカー名が記載されています。では、その個別の車種をどうやってわけているのかというと、型式名が正式なその車種の呼び名なのです。
86とは、5代目カローラのスポーツモデルであるカローラレビン(または兄弟車のスプリンタートレノ)の型式が「AE86」で、走り好きの当時の若者を中心にそのレビンもトレノも「ハチロク」と呼ばれるようになりました。その後、漫画イニシャルDのヒットなどにより、クルマにそれほど詳しくなくても「ハチロク」と呼ぶようになり、それをメーカーが正式な通称名にしたという経緯です。
イニシャルDの「D」には諸説ありますがドリフトを想起させるのは間違いないハズで、実際にストーリーはドリフト走行をテーマにしたものでした。
しかし、自動車メーカーはこの行為をなかなか受け入れることに抵抗があったようで、公然とドリフトしているシーンは映像や実車に反映されなかったものです。
11月10日に開催されたTGRF(トヨタ・ガズーレーシング・フェスティバル)には、トヨタのレース部門、GAZOO Racingのカラーリングをまとった86ベースのドリフト仕様が登場しました。タイヤメーカーのTOYO TIRESが、「Team TOYO TIRES DRIFT」のドリフトパフォーマンス車両として、同社のイベントやプロモーションのために作製したものです。その車両の製作はドリフトの名門「GPスポーツ」が担当。実は、2013年のD1GPシリーズチャンピオンとなった川畑選手が駆る車両はこのGPスポーツによるものです。
走っているシーンはこちら。
エンジンにはターボキットを組み込み300馬力ほどにパワーアップ、足回りにはGPスポーツのドリフトへのノウハウとオリジナルパーツが組み込まれています。
タイヤは今回はフロントにTOYO PROXES R1R、リヤにはTOYO DRBを履いています。フロントによりスポーツ性の高いタイヤを履いているのは、やはりリヤをすべらせるドリフトに合わせたものでしょうが、GPスポーツの駒形さんによれば、「そのコースや天候、ドライバーなどによって変更する予定。今回もテストも兼ねてのセレクト。エコタイヤでやることも考えている」だそうです。
サイズは前後ともに215/45R17と、車検に通るサイズとなっています。
この車両は実際にメーカーがリリースしたワケではありませんが、GAZOO Racingのカラーリングを施すことを認めている部分では、長年ドリフト競技も見てきた私としては、大きな進化の一歩に見えてなりません。
86のカスタマイズにまた広がりが増えたと言えるでしょう。
(小林和久)
TOYO TIRES>>>http://toyotires.jp/