4ドアクーペのCLAとハッチバックのAクラス。ボディ形状はもちろん、サイズの違いは意外と大きく、先日お伝えしたとおりCLAはAクラスよりも350mmも長いのが特徴。ホイールベースは同値で2700mmあり、FFですからコンパクトなスポーツクーペといっても、FRの1シリーズのようなキビキビしたハンドリングを強調するわけではありません。
しかし、狭い街中でも気を使わない扱いやすいサイズに収まっていますので、メルセデスに興味があるけれど大きすぎるのはちょっと……というニーズには応えてくれます。
サスペンション形式はフロントがマクファーソン・ストラット、リヤは4リンクのマルチリンクというのも同じ。
今回試乗したCLA180(AMGライン)もA180も1.6Lの直列4気筒直噴ターボで、122ps/5000rpm、200Nm/1250〜4000rpmという数値。トランスミッションは7Gトロニックと呼ぶデュアルクラッチを搭載しています。
パワートレーンもサスペンションも同じですから、Aクラスと同様に乗り味は基本的に同じでスポーティ路線を貫いています。
とはいえ、Aクラス同様に決して速いわけではなく、「ECO」だと街中の流れに乗るのに不足はない程度で、走行モードを「S」にするとまずまずの加速感を得られます。
また、低・中速域ではやや硬めの乗り味で、路面からの突き上げ、左右に揺すられる動きも多少気になるところ。225/40R18サイズのブリヂストン「ポテンザRE050A」を装着していたのと、足まわりをやや硬くして高速域のコーナリング性能を高めるという狙いも同じでしょう。
真価を発揮するのは、高速道路の追い越し車線を飛ばす際や速度域の高いワインディングなどで、高速域といっても直進安定性は昔のメルセデスのような盤石なスタビリティとは至っていません。
とはいっても、CLAとAクラス、基本的に走りのテイストは似ていますが、クーペとハッチバックの違いから速度域が高いほど、ボディの剛性感がCLAの方がより盤石に感じられますから、ハイスピード域ではより安定しています。
走りに関してはやや辛口になってしまいましたが、完熟を迎えている現行型Cクラスもデビュー時はアジリティとスタビリティの両立に苦労した感がありましたし、現在は積極的にCクラスを選んでもいいな! と思える仕上がりになっていますから、年次改良やマイナーチェンジなどで確実にメルセデスらしさを濃厚にしていくはず。
(塚田勝弘)