「クワトロとはアウディであり、アウディとはクワトロである」と、アウディ自身が語っています。もはや単なる技術を超えて、ブランドの根幹をなす哲学やアイデンティティとさえいえるものです。1980年にデビューを果たしたオリジナルのクワトロである「Ur-quattro」以来、500万台以上のフルタイム4WDを売ってきたそうで、市販車だけでなくWRCなどのモータースポーツでも活躍してきたのは周知のとおり。
中でも1983年のフランクフルトモーターショーで発表された「Sport quattro」は、クワトロの高い走破性と225kW(306hp)のハイパワーで、パイクスピーク国際ヒルクライムで圧倒的な速さを見せつけて優勝しています。
今回のフランクフルトモーターショーで、その後継モデルとして披露されるのが「Audi Sport quattro concept」。システム出力が515kW(700hp)に達するプラグインハイブリッドシステムを搭載したスポーツクーペで、当然ながらクワトロシステムが採用されています。
全長4602×全幅1964mm×全高1386mm、ホイールベース2784mmのロー&ワイドな2シータークーペで、2010年に披露された「Audi Quattro Concept」のアップデート版ともとれますが、エクステリアで目を惹くのが新型A8にも採用されているマトリックスLEDを搭載し、21インチタイヤを包み込むブリスターフェンダーの力強い造形も特徴的で、クワトロらしさを最大限主張。
アウディといえばアルミですが、サイドシルやディフューザーなどにCFRPを採用するなど、軽量化が図られています。
インテリアはエレガントな雰囲気で仕上げられていて、ステアリングホイールやインパネのクラスター、ヘッドアップディスプレイが一度で視野に入るように設計されるなど、スポーツモデルらしさを追求。
4.0LのTFSIとトランスミッションの間に設置されたディスク形状の電動モーターは、出力110kW、トルク400Nmを発揮。また、リヤに搭載される液体冷却型リチウムイオンバッテリーは、最大14.1kWhのトラクションエネルギーを引き出します。
さらに、モーターのみで50km (31.07 miles)の走行が可能で、システム出力は515kW(700hp)、システムトルクは800Nmに到達。このハイパワーを最新の8速ティプトロニックから、リヤアクスルのスポーツディファレンシャルが特徴のクワトロに伝達されます。
環境性能にももちろん配慮されていて、平均燃費は2.5L/100km (94.09 US mpg)で、CO2排出量59g/kmを達成しています。
(塚田勝弘)