クルマののディーラーと聞いて、どんな光景を思い浮かべますか?キレイなショールームに並ぶ展示車両やハツラツとした営業マン、ドリンクコーナーやキッズコーナー、整然としたサービス工場……etc。どの地域に住んでいても大体同じイメージですよね。 これには理由があります。
一般的に、メーカーやチャンネルの違いこそあれ、クルマのディーラーが行うサービスは全国どこでも同じであることが美徳とされ、お店独自の個性を強く打ち出す必要はあまりないとされてきたからです。
ところがこの変化はナニ? と思えることがありました。
8月4日(日)に富士スピードウェイで行われたトヨタ86&スバルBRZのイベント、「Fuji 86style 2013 with BRZ」に行ってきたのですが、そこでは多くのトヨタ系ディーラーが会場内でさまざまなイベントを行なっており、まさに個性の競い合いという状況。
中でも神奈川トヨタを中心とするKTグループは、ドリフトコースを貸し切っての「KTグループ4社合同AREA86ミーティング LAP2」を開催し、ドリフトコースの体験試乗や、プロドライバーによる同乗走行などのモータースポーツイベントを行なっていたのです。
神奈川トヨタ「マスターワン」店長、額田信明氏(下写真)によると「グループ4社が集まり、昨年から開催しているプレミアムなイベントです。うちで買っていただいた86オーナーを対象に抽選を行ない、無料でコースを走れる体験試乗会を実施しました。独自色を打ち出していくことで、うちでクルマを買いたいと思ってもらうのが狙いですね」とのこと。 冒頭で書いた内容と真反対の積極さです。
また会場内で、全国のディーラーが展開する「AREA86」の「マスタースタッフ」たちと出会いました。AREA86およびマスタースタッフ自体は、86と同時に発表されたいわばトヨタが仕掛け人となった企画(と思われる)ですが、現在は全国各地のマスタースタッフたちが横の連携を密にとりながら、カスタマイズやチューニング、アフターサービスなどの個性を、それぞれのエリアで発揮しています。
ふたつのことに共通して言えるのは、メーカー(トヨタ)に言われているからではなく、あくまで自主的に行なっているということ。ディーラーならではの高いサービス力を高めつつ個性を発揮し、他の店舗と差別化することが、今の多様化したユーザーに選んでもらうためには必要ということでしょう。
没個性から個の発揮へ。
クルマディーラーの将来がますます楽しみになりますね。
(奥野大志)