新しい3シリーズには、セダン(モデルコード=F30)とツーリング(F31)がラインナップされている。
4シリーズという名前になるが来年にはクーペ(F32)とカブリオレ(F33)も加わるはずだ。
これまでならここで終わるのだが、いまのBMWは積極的に時代の先取りをする。そんな背景の中で誕生したのがグランツーリスモ(F34)なのだ。
ファストバックスタイルであるが室内は広い。特に後席は前後長が伸びて足元が楽になった。
5シリーズにもセダン(F10)とツーリング(F11)と共にグランツーリスモ(F07)があるが、グランツーリスモだけ7シリーズの標準ボディ(F01)と同じホイールベースに伸ばされている。3シリーズ・グランツーリスモも同様にセダンに比べてホイールベースは110mm伸び、全長は200mm伸びている。
アウターパネルはセダンやツーリングとは全面的に異なり、ドアミラーとドアハンドルのみが共通だという。グランツーリスモのドアはサッシュレスになっているところも大きな違いだ。
グランツーリスモのシートの高さはセダン・ツーリングに比べて59mm高くなっている。これはタイヤ径が15mm大きくなったのと、サスペンションをかさ上げして車高を高くし、さらにシートレールを高くしたためだ。X1と同じヒップポイントだということだが、エクステリアデザインの違いのせいかそれほど高くなったように見えないのは不思議だ。でも乗り降りがしやすいのは腰に負担がかからないのでありがたい。
ボディが大きくなっても320iグランツーリスモの直列4気筒2リッター、ターボチャージャーエンジンは低回転から力があるので走りやすい。ゴー・ストップの多い市街地でもワインディングロードでも力強く走ることができる。高速道路は8速ATにより低回転で巡航できるから静かで快適である。
335iグランツーリスモには直列6気筒3リッター、ターボチャージャーエンジンが搭載されている。
セダンには電気モーターも付くアクティブハイブリッドしか6気筒エンジンがないから、新しい3シリーズで純粋に直列6気筒を楽しめるモデルはグランツーリスモだけだ。ちょっと大きめになったボディには直列6気筒が合っていると思う。重量バランスも良いし、オートスタートストップでエンジン再始動の際の音と振動も3シリーズ・セダン、ツーリングより小さく感じる。
ホイールベースが伸びているのと重量が少し増えているから乗り心地が良いのもグランツーリスモの特徴だ。そして3シリーズの軽快なハンドリングは継承している。その名の通り長距離ドライブは得意分野である。
(菰田 潔)