現在、世界的にEV普及が足踏みする要因となっているのが車両価格の高さと一充電当たりの航続距離。
バッテリー容量に依存するEVの場合、航続距離は車両単体やインフラ整備だけでは解決出来ない大きな課題となっており、その解決には約5年後とされる大容量の次世代バッテリーの登場を待つしかない状況。
そうした中、米EVメーカーのテスラモーターズが「モデルS」のリチウムイオン・バッテリーパックを約90秒で交換可能とするデモンストレーションを実施しました。
このデモでは1台目の電池パック交換が約90秒後に完了、続いて2台目が電池パック交換を完了しても、まだガソリンエンジン車の給油は終わらず、その後約4分で給油が完了するという内容。
これは同社のイーロン・マスクCEOが6月上旬に米国で開催された全米自動車ディーラー協会(NADA)の会合で「6月20日に大きな発表を行う」と予告した上で初披露したもの。
このバッテリー交換システムは、バッテリー残量が少なくなった際に充電済みのバッテリーと素早く交換することで、充電の待ち時間を無くそうというアイデア。
アイデア自体は以前にご紹介した「Better Place」方式と基本的に同じ物ですが、おそらく同車の設計時点で既に想定されていたシステムと推測されます。
映像では遠くてバッテリー交換作業が殆ど見えませんが、実際には車両下の床に設けた作業用ハッチが開いて下方から残量の減ったバッテリーを自動で抜き取り、満充電品に交換しています。
テスラによると、2013年末までに電池パック交換ステーションをロサンゼルス~サンフランシスコ間を結ぶ道路に設置、その後ワシントン~ボストン間にも追加する計画と言います。
バッテリー交換費用は15ガロン(約57リットル)分のガソリンと同程度の60~80ドル(約5900~7900円)程度とか。
「モデルS」は元MAZDAの北米デザインセンターのディレクターによる均整のとれたエクステリア・デザインや航続距離の長さ、高いパフォーマンス等が評価され、2013年は20,000台以上の販売が見込まれている模様。
ちなみに搭載されているリチウムイオンバッテリーセルはパナソニック製で、同車向けに1億個を出荷しているそうです。
航続距離は160マイル(約257km)、230マイル(約370km)、300マイル(約483km)の3種類からチョイス可能で、充電電圧は110V、220V。440Vに対応。
220Vで4時間、440Vなら最短45分で充電可能な為、街乗りならそもそも大きな不満は無いものと思われますが、広大な米国を長距離移動するにはやはりこうした自動バッテリー交換機の普及が望まれるのかもしれません。
■テスラ 米国Webサイト
http://www.teslamotors.com/
■テスラ モデルS Webサイト(日本)
http://www.teslamotors.com/jp/models
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