2013年6月21日に発売開始となるホンダのミドルサイズセダン「アコード ハイブリッド」は、スタンダードなモデルで30.0km/L、官公庁など向けのプラグインハイブリッドで70.4km/Lという、クラスを超えた燃費性能に注目が集まります。
全長5mに迫る立派な体格のミドルサイズサルーンでありながら、30.0km/Lという数字を見ると、よほど凝ったハイブリッドシステムを搭載していたり、素材の置換による軽量化をしていたり、といったハイテクを使っていると想像しがちですが、少なくともアコードから採用された新しいハイブリッドシステムについては、ホンダ自身が「シンプルな構造」と明言しています。
従来のホンダ・ハイブリッド(IMA方式)がエンジン・モーター・トランスミッションというワンモーターのパラレルハイブリッドシステムだったのに対して、このアコードハイブリッドで使われた「SPORT HYBRID i-MMD」はエンジンに2つのモーター(発電用・駆動用)を内蔵した電気CVTを組み合わせたシリーズハイブリッド的な構造となっているのがシンプルという 理由。さらにバッテリーには放充電に有利なリチウムイオンバッテリーを採用しています。
走行モードは、バッテリーの電気を使う「EVモード」、エンジンで発電用モーターを回して電気を生み、その電力で駆動用モーターを回す「ハイブリッドドライブモード」、そして高速巡航など限られた条件ではエンジンの出力をダイレクトにタイヤに伝える「エンジンドライブモード」という3つを持っています。
ハイブリッドカーがエネルギー効率に優れる理由のひとつに、減速エネルギーの回生量があります。アコードハイブリッドでは、通常時においてはブレーキペダルとブレーキシステムが切り離されたバイワイヤの「電動サーボブレーキシステム」とすることで、モーターによるエネルギー回生を最大限に引き出すことを狙っています。これはフィットEV譲りの技術を進化させたものと発表されています。
また、もともとホンダは、2003年に世界で初めて市販車に衝突防止システム「CMBS(衝突軽減ブレーキ」を採用していますが、このアコードハイブリッドには「進化型CMBS」を搭載。クルーズコントロールや前走車への衝突防止だけでなく、対向車との正面衝突での被害軽減にも対応しています。この「進化型CMBS」のキメ細やかな制御には「電動サーボブレーキシステム」の連携が役立っているということです。
燃費を向上させるには空力性能も重要なファクターですが、アコードハイブリッドはゴテゴテと空力付加物をあとづけすることなく、基本的なフォルムを「バレルシェイプ」という真上から見てボディ中央が膨らんだ樽型にすることで、優れた空力性能を確保したといいます。ここでもシンプルに目標に向かっていくスタンスが感じられます。
メーカー希望小売価格は、ハイブリッドのベーシックグレードとなるLXが365万円。プリクラッシュセーフティシステムを標準装備したEXが390万円。そして一般向けではありませんが、世界最高水準の燃費性能を誇るプラグインハイブリッドが500万円となっています。
プラグインハイブリッドが先行発売されているアメリカ市場でも、10月にはハイブリッドが全国発売されるといいますが、日本のみならず、世界で、この2モーター「i-MMD」ハイブリッドは、どのように評価されるのでしょうか。
●主要諸元(アコードハイブリッドLX)
全長:4915mm
全幅:1850mm
全高:1465mm
ホイールベース:2775mm
車両重量:1620kg
エンジン型式:LFA
エンジン種類:直列4気筒DOHC
総排気量:1993cc
圧縮比:13.0
最高出力:105kW/6200rpm
最大トルク:165Nm/3500-6000rpm
電動機(モーター)型式:MF8
モーター種類:交流同期電動機
モーター定格電圧:700V
最高出力:124kW/3857-8000
最大トルク:307Nm/0-3857rpm
動力用バッテリー種類:リチウムイオン
バッテリー容量:5.0Ah
使用燃料:レギュラーガソリン
燃料タンク容量:60L
燃料消費率(JC08モード):30.0km/L
タイヤサイズ:225/50R17
最小回転半径:5.7m
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ホンダ「アコードハイブリッド」画像ギャラリー - ミドルサイズセダンで30.0km/Lと驚異の燃費性能!
https://clicccar.com/2013/06/20/223330/
(山本晋也)