今年は各地で例年より早く梅雨入りしましたね。私事ですが自動車雑誌の編集者時代、洗車などの企画を毎月担当していました。ある磨き屋さんから教えられて最もビックリしたのは「ワイパーは水を拭き取っているのではなく、薄い水膜にしている。つまり、均(なら)しているんだよ!」いうことでした。
でもクルマの取扱説明書を見ると、「フロントガラスやリヤガラスに雨や雪、汚れなどが付着した際に作動させることでこれらを拭き取り、視界を確保する」と役割が記されています。でも、おそらくユーザーに分かりやすく説明するためなんでしょう。均しているといわれてもピンと来ないから?
フロントウインドウの水滴は球体に近いですから光を屈折することで視界を妨げたり、歪ませたりするわけで、水滴をワイパーブレードが均すことで視界を確保しているのです。
そうするとまず、フロントウインドウを撥水剤で塗りたくることは、本来の機能からまったく逆の行為をしていることになります。もし、ケミカル好きであれば撥水ではなく、親水式のほうがマシと言えますが、それでも素人が親水性を均一にするのは難しいですから手を出さない方がいいかもしれません。
話をワイパーに戻すと、ブレードはゴム製なので使っても使わなくても時間が経てば劣化します。ビビリや拭きムラなどの原因になるわけです。
そこでワイパーブレードをじっくり見てみましょう。ゴムが変形していたり、先端部分がすり減って丸くなっていたりするとゴムの交換時期の目安です。また、ゴムの硬化やひび割れなども要注意。
カー用品店には撥水など多彩なアイテムがありますが、撥水は先述したようにあまり推奨できません。無難なのは割高ですが、純正用品です。車種ごとに異なるウインドウの曲率にピタリと合わせて開発されているからです。
年に1回の交換が目安といわれているワイパーゴムなので、「ワイパーの日」である6月6日に点検、交換してみたらいかがでしょうか。
(塚田勝弘)