ボッシュはCO2排出量を減らすために有効な手段はCNGエンジンと発表

2013年4月に開催されたウィーン・エンジン・シンポジウム2013において、自動車関連パーツの有力サプライヤーでもあるボッシュは次のように発言しました。

『2020年までに自動車の平均CO2排出量を1km当たり95gに抑えるという欧州の目標は技術的に達成可能である、と確信しています。私たちはすべての車両クラスでエンジン効率の向上に向けた革新的なソリューション開発に取り組んでいます』。

排気量、ボディサイズによって、最適なソリューションは異なるといいますが、全体としての最適解は CNG(圧縮天然ガス)であろうとしています。

ボッシュの技術が投入されたCNG車といえば、フォルクスワーゲンが欧州でCO2排出量79g/kmとアピールしているECO up! が知られているところですが、天然ガスを使ったエンジンは追加コストを最小に、CO2低減に効果的なソリューションになるということです。

vw_ecoup!

そのほか、コンパクトカーは現代の技術をブラッシュアップするだけで十分という見解です。このセグメントのディーゼル車は、すでにCO2排出量が81g/kmと目標に達しています。ガソリン車でも99g/kmですから、大掛かりなことをせずとも2020年の目標には手が届くといえるわけです。

ミドルクラスの最新パワーユニットでは、ディーゼルエンジンで105g/km、ガソリンエンジンは115g/kmというCO2排出量になっていますが、ここから2020年の目標に達するにはエネルギー回生がキーになります。コスト(価格上昇)を抑えながら、クリーンで効率的なエンジンにするには、パワートレインのマイルドハイブリッド化が有効なソリューションということです。

このように台数の多いコンパクトクラスやミドルクラスの環境性能を高めることは、全体としての数値を下げるのに効果的です。これにより燃費性能に劣る重量級SUVなどのCO2排出量を相殺することが期待できますが、だからといって、そうしたプレミアムクラスの環境性能をそのままにしていいというわけではありません。

このクラスでは、内燃機関を最適化するだけでは十分ではないといいます。ボディも考慮して、空気抵抗の低減や重量削減も燃費改善には必要になってきます。また、パワートレインでは、電気だけの走行可能なプラグインハイブリッドシステムが有効になり得るということです。こうしたシステムの採用は、ある程度の価格上昇につながることは致し方ないといえそうです。 

いずれにしても、欧州における2020年の自動車平均CO2排出量目標を実現可能とする革新的なテクノロジーは、ボッシュにとってリアリティあるものというわけです。

(山本晋也)

この記事の著者

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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