AクラスにV40、新型ゴルフやA3など、続々とCセグメントのニューカマーが登場しています。フォード・フォーカスも日本市場に再挑戦し、4月13日から発売が開始されます。
新型を目前にすると、フォードが「キネティック(動的な)」デザインと呼ぶダイナミックなデザインは確かに迫力があり、ロー&ワイドで走りの良さを感じさせます。先代フォーカスも走ってナンボのところがありましたから、まず気になるのがその走りです。
エンジンは170ps/202Nmを発揮する2.0Lの直列4気筒DOHCを搭載し、ゲトラク・フォード製の6速PowerShiftのみを組み合わせます。このトランスミッションは流行のデュアルクラッチ式で、トルコン式ATよりも素早い変速と燃費向上が期待できます。
さて走ってみてビックリ。発進時からなかなかトルクフルで動き出しは軽快です。最近の1.6Lターボ、たとえばV40の180ps/240Nmと比べると、最大トルクは及びませんが、低速域だけでなく、パーシャル域からの加速もフィーリングにもまったくの不満はありません。もちろん、122ps/200NmのAクラスよりも力感は明らかに一枚上手です。
気になるのは、今回のプレス試乗会では2台の試乗車に乗ることができましたが、まだ距離が伸びていない車体は、アクセルを軽く踏んだだけでも必要以上に加速する飛び出し感のようなものが見受けられました点です。
もう1台はリニアな加速感を味わえましたから個体差かも知れません。じつはこのトランスミッションには、学習機能も備わっているそうで、もう少し走り込めばこうした感触はなくなるかもしれませんとのこと。
パワーや加速フィールには、十分に合格点を与えられる新型フォーカスですが、そのハイライトはやはりハンドリング。初代フォーカスはCセグメントのリヤサスにマルチリンクを持ち込み、ハンドリングを徹底的にブラッシュアップしたモデルです。ハンドリングに関しては王者ゴルフを慌てさせ、ゴルフⅤではマルチリンクを採用しています。
新型フォーカスは、前が軽量化されたマクファーソンストラットで、リヤはマルチリンク。形式は同じながらとくにリヤは最新バージョンにアップデートされ、日本仕様の「Sports」は前後のショックアブソーバーを約15%硬いチューニングが与えられます。
実際に速度域を問わず正確なハンドリングを享受でき、ヨーを察知しやすく、ロールも適度に抑えられていますから山道を飛ばすのは得意中の得意で、コーナリング時に左右の前輪に伝わるトルクを調整する「トルクベクタリング・コントロール」の搭載も寄与しているはずです。
(塚田勝弘)