「コンクラーベ」で庶民派の新ローマ法王誕生 ! 豪華なパレード用特装ベンツが早くも不要に?

約600年ぶりのローマ教皇(法王)生前退位という異例の事態を受けて3月12日に開始された後任の教皇を選出する秘密会議「コンクラーベ」。

投票は初日1回、2、3日目に午前午後各2回ずつ計9回行われ、決まらなければ1日おいて7回投票、計30回やっても駄目な場合は決選投票となるシステムのようですが、今回はそのような「根比べ」とはならず、2日目の現地時間13日夜に5回目の投票で無事ベネディクト16世の後継者が決定した模様。

バチカン用ベンツMクラス特装車
バチカン用ベンツMクラス特装車

世界約12億人のカトリック信者のうち、現在では4割以上を中南米が占めることから、新任のローマ教皇に選出されたのは南米アルゼンチンのブエノスアイレス司教を務めるホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿(76)。

ベルゴリオ枢機卿は労働者階級出身で慎ましい鉄道員の家庭に生まれ、小さなアパート暮らしを長らく続けていたそうで、生活の足には公共交通機関(バス)を使用、食事も自炊するなど質素な生活ぶりで知られているそうです。

今回約1300年ぶりの欧州外出身者からの選出となり、ベルゴリオ枢機卿は貧しい人の為に尽くした12世紀のイタリアの聖人にちなんで「フランシスコ」の名を発案、フランシスコ1世(Francis)を名乗ることに。

欧州ではカトリック信者が思想や価値観のズレから世界の信者全体の20%台にまで激減しているそうで、数々のスキャンダルが噴出するなどで追い打ちがかかり、バチカンの信頼回復に向けた施策が待った無しの状態とか。

バチカン用ベンツMクラス特装車
バチカン用ベンツMクラス特装車

以前に『ダイムラーAGがローマ教皇に贈った特別な「Mクラス」とは ?』でお伝えしたとおり、おりしも先代のベネディクト16世の市内パレード用に製作されたベンツの高級特装車が教会に納車されたばかり。

新ローマ教皇フランシスコ1世は3月16日、バチカン市国で恒例の報道陣謁見を行い、「貧しい人々のための質素なカトリック教会にしたいと強く望んでいる」と述べたそうで、教会運営にあたって弱者救済に重点を置く方針を強調したと言います。

バチカン用ベンツMクラス特装車
バチカン用ベンツMクラス特装車

非常に質素な振る舞いを心掛けるフランシスコ1世がこの豪華な防弾ガラス装備のベンツMクラスをパレードに使用するかどうさえもかなり微妙な状態になって来ました。

世界的なPRに繋がるとの思いで先代ローマ教皇に自ら納車説明までしたダイムラーAGのディーター ・ツェッチェ会長の心中はもしかすると穏やかでは無いかもしれません。

 (Avanti Yasunori) 

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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